はじめに

ピノ・ノワールと言えば、多くの人がフランスのブルゴーニュ地方を思い浮かべるでしょう。
繊細で透明感があり、飲むたびに表情を変えるエレガントな赤ワイン。
その“ブルゴーニュ的美徳”を、今、思いもよらない土地で見つけることができます。
それが、ドイツです。
白ワイン王国のイメージが強いこの国で、今、ピノ・ノワール(現地では「シュペートブルグンダー Spätburgunder 」)が密かに注目を集めています。
ブルゴーニュをこよなく愛する方にこそ、このドイツ・ピノの静かな熱に触れていただきたいのです。
なぜドイツなのか? 静かなる逆転劇

かつて「ドイツの赤ワイン」と言えば、薄くて酸っぱいイメージを持たれていたかもしれません。
しかし、近年の気候変動、醸造技術の進化、そして若手生産者たちの情熱により、Spätburgunderはまったく新しい表情を見せています。
冷涼でミネラル感のある土壌、長い日照時間、そして手間ひまを惜しまない造り手たち。
ブルゴーニュと似た、いや、それを凌駕するようなエレガンスを感じさせる1本が、いまドイツの小さな村々から生まれているのです。
産地による個性の違いを楽しむ
ドイツのピノ・ノワールが面白いのは、地域ごとに個性がはっきりしていること。

- アール(Ahr)地方:冷涼な渓谷で育つピノは、酸が美しく、チャーミング。透明感のある赤。
- バーデン(Baden)地方:フランス・アルザスに隣接。温暖で豊満、まろやかで力強い味わい。
- ファルツ(Pfalz)地方:果実味と酸のバランスがよく、洗練されたスタイル。食中酒としても万能。
それぞれのピノに、地層の物語があり、風の記憶があります、あなたはどの生産地のワインが飲んでみたいですか?
konishi1924 のおすすめは、メディアなどでも注目され、在感を高めている「ファルツ地方」のワイン。
例えば、旧「ゴー・ミヨ」のチームが立ち上げたワインガイド「VINUM」2020年度版で、2017年ピノ・ノワール・トップ10のうち6つがファルツ産でした。この地域の先達であるクニプサーとレープホルツを抑え、HEワインとベルンハルト・コッホが各2アイテムをランクインさせました。
🍷 ベルンハルト・コッホのワインを飲んでみる!

ベルンハルト・コッホ
ヘレンブッケル ピノ・ノワール
クヴァリテーツヴァイン トロッケン 2020
750ml 税込価格 5,280円
ベルンハルト・コッホは、ドイツのファルツ地方にあるワイナリーです。今やこの地方トップの生産者の一つに数えられ、「ゴ・エ・ミヨ2023」で赤4房、「ヴィヌム2023」で4星という高評価を得ています。
このワインは、フレムリンゲン村の単一畑「ヘレンブッケル」のピノ・ノワールからつくられています。ピノ・ノワールらしいよい香り、熟した果実とクミンやローリエなどのスパイスの要素が調和しています。少し熟成した丸みのある果実味、なめらかな口当たりがなんとも言えません。
小さな造り手たちの「物語」こそが魅力
ドイツのピノ・ノワールには、華やかなシャトーもラベルの派手さもありません。
けれど、小さな畑を家族で守り、地元に根ざしてワインを造り続ける生産者たちの「静かな熱」があります。
たとえば、自然酵母で発酵させる若手生産者。
手摘み、手作業にこだわる老舗の小さな醸造所。
その1本1本に、「顔が見えるワイン」という安心感と奥行きが詰まっています。
🍷 自然酵母で発酵させる若手生産者のワインを飲んでみる!

ピリ・ナチュレル
ピノ・ノワール 2021
750ml 税込価格 5,500円
ドイツのナーエ地方、ピノ・ノワールからつくられる美しい味わいの赤ワイン。生産者のピリ・ヴァインは、既に、ヨーロッパのアンテナが高いWine Loverからは大注目を浴びています。
やさしく品の良い甘い香り、すりおろしリンゴやさくらんぼ、ザクロやクランベリーのアロマが楽しめます。柔らかく繊細、綺麗な酸味と果実味のバランスは絶妙、穏やかな印象の味わいですがじわじわと旨味が増していきます。
ブルゴーニュとの違い、そして“共通点”
ドイツのピノは、ブルゴーニュと比べて酸がややはっきりしており、樽の使い方も控えめ。
その分、果実のピュアな表現や土地の個性がよりくっきりと伝わってきます。
価格も、ブルゴーニュの同等クラスと比べると圧倒的に良心的。
「1万円のブルゴーニュ」に匹敵する味わいが、5000〜6000円台で手に入る…
これは、ピノ好きには見逃せない事実です。

ロベルト・ケーニッヒ
アスマンハウゼン・ヘレンベルク
シュペートブルグンダー エンプアー トロッケン 2020
750ml 税込価格 5,060円
ロベルト・ケーニッヒは、「ブルゴーニュ」を連想させる、シュペートブルグンダーのスペシャリスト、ラインがウ地方の‟アスマンスハウゼン”に拠点を構える家族経営の小さな生産者です。アスマンハウゼンは、ドイツ最高峰のシュペートブルグンダーを生む銘醸地、1940年頃には、ロマネ・コンティよりも優れたワインと言われるくらい、名声があるエリアでした。
このワインは、カシスやチェリー、ブラックベリーの鮮やかなアロマに、樽由来のバニラやスパイスのニュアンスが混ざります。ヘレンベルクらしい集約のある豊かな果実味とパワーが感じられるワインです。
食卓との距離が近いワイン
繊細な酸と果実味のバランスが良いドイツ・ピノは、料理との相性も抜群。
- 春:グリーンアスパラや山菜のソテー
- 夏:軽く冷やして鶏のハーブ焼きと
- 秋:きのこや鴨のローストと完璧なマリアージュ
- 冬:ビーフシチューやポトフにもぴったり
食中に飲み干せるピノ・ノワール、というのは想像以上に貴重です。
🍷 食事と楽しんで欲しい「ドイツ・ピノ」!

ヴァイングート・ユルグ
カルクメルゲル
シュペートブルグンダー 2018
750ml 税込価格 4,800円
ヨハネス・ユルグは、現在世界で注目を浴びるドイツのシュペートブルグンダー生産者の若手の代表格として広く認知されるようになりました。「ブルゴーニュに学ぶことは非常に多いけれども、ドイツのシュペートブルグンダーは独自のスタイルを築く必要がある。」と話す彼は、ドイツのピノ・ノワールの将来に大きな期待を寄せています。
このワインは、豊かな酸味がバランスよくまとまっており、中程度の渋みを歯茎の辺りに感じます、ピノ・ノワールとしてはかなりしっかりとしたものです。味わいのバランスがよく、中位から少し高めの位置でまとまっています。食事と楽しんでよりおいしく感じられるワインです。
最後に「知っている人だけが手にする贅沢」
ドイツ・ピノ・ノワールは、いまだ多くの人に知られていない「隠れた名品」です。
だからこそ、いまこのタイミングで出会ってほしい。
あなたのグラスの中に、静かに語りかけてくるような赤ワインがあります。
それは、ドイツの冷涼な谷間で、まじめな造り手が丁寧に育てた、一本の奇跡。
▶ ドイツのピノ・ノワールを konishi1924 でもっと見てみる