サンテミリオンとグラン・クリュ

サンテミリオンの街

フランスの南西部の都市「ボルドー」と言えばワインの一大産地として有名です。

サンテミリオンは、ボルドー市街から約20km東に位置し、電車で40分ほどの距離にあり、ボルドーの街の美しさとは全く違う雰囲気の、ワイン畑に囲まれた歴史ある街です。

8世紀ごろ聖人エミリオンがこの地に移り住んだことから、Saint-Emilion(聖エミリオン)、サンテミリオンと呼ばれるようになりました。




1999年にワインの生産地として世界で初めて、世界遺産に登録されています。

人口は、1900人弱とかなり小さな街ですが、そこに年間100万人ほどの観光客が訪れるというから驚きです。

UNESCOに登録されている “中世の美しい街並み” を残す場所で、かつての城壁やヨーロッパ最大の一枚岩教会など、多くの見所があります。

また、人気の街のすぐ外には葡萄畑が広がり、のどかなフランスの田舎をたっぷり堪能することもできるのです。


サンテミリオンのワイン

サンテミリオン (A.O.C)

サンテミリオンは、ボルドー地方を流れるドルドーニュ川の右側に位置する生産地です。

ここには、サンテミリオンの街を拠点に広がるワイン産地「サンテミリオン」、ドルドーニュ川の支流バルバンヌ川を挟んだ北側のサン・テミリオン衛生地区と呼ばれる産地があります。

・サンテミリオン
・サンテミリオン グラン クリュ
・サンジョルジュ サンテミリオン
・モンターニュ サンテミリオン
・ピュイスガン サンテミリオン

サンテミリオン・グラン・クリュは、格付けとは無関係の原産地名称 (A.O.C) です。


最大収量や最低アルコール度数の規定をサンテミリオン (A.O.C) より厳しく定めたもので、わかりやすく云うと、ボルドー (A.O.C) とボルドー・シュぺリュールの関係に似ています。

気候

ボルドー地方を大きく見た場合、大西洋を流れる暖かなメキシコ湾流の影響により温暖な「海洋性気候」となります。加えて、サン・テミリオンはこの地方でも内陸に位置するため、昼夜の気温差はやや大きくなります。


土壌

サンテミリオンの土壌は、複雑で変化に富んでいるのが特徴です。

サンテミリオンもその衛生地区も概ね石灰岩を母岩にもつ粘土石灰質ですが、ドルドーニュ川に近い平野部は砂がちの土壌、ポムロールに隣接する北西部は砂利質土壌となっています。

ぶどう品種

サンテミリオンで栽培される品種は、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、コット(マルベック)、カルムネール、プティ・ヴェルドです。

多くのワインはメルロー種が主体でカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランがその他の品種がブレンドします。

北西部の砂利質土壌からはカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンを主体にしたワインも生み出されています。


サンテミリオンの格付け

サン・テミリオンでは1955年以来公的格付けがなされていて、格付けはサン・テミリオン・グラン・クリュ(A.O.C.)の中から優良シャトーが選出されます。

サン・テミリオンの格付けは、第一特別級のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ、特別級のグランクリュ・クラッセからなります。

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセは上級の「A」と下級の「B」に分かれるため、実際には3階級と解釈して下さい。

第一特別級
・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ “A” 
・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ “B” 

特別級
・グランクリュ・クラッセ 

五大シャトーを有するメドックの格付けが150年以上たった今でも一部の例外を除いてほとんど変更がないのに対して、サン・テミリオンの格付けは約10年ごとに見直しが行われます。

1955年の次に改訂が行われたのは1969年です。続いて1986年、1996年、2006年、2012年と合計6回にわたって改訂されました。

2012年の格付け

2012年の格付けでは、シャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランの二つにシャトーが、長きに渡って君臨してきたプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ “A” に、新たにシャトー・アンジェ
リュスとシャトー・パヴィが加わりました。

小さなワイナリーから飛躍的に評価を上げた、シンデレラワインとも呼ばれる、シャトー、ヴァランドローやラ・ガフリエールなど四つのシャトーがプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ “B” に昇格しました。



2022年に新たに制定された格付け

1955年に制定されて7回目となる今回の格付けに申請された書類は全部で114件にのぼりました。

5400haに500軒を超すシャトーがあるサンテミリオンの格付けの存在意義を示しています。

新たなサンテミリオン格付けにおけるこれまでとの大きな変更点は、シャトー・フィジャックがプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ「B」から「A」に昇格したこと。

さらに、選定基準に不満を表明したシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランが申請せず、シャトー・アンジェリュスも申請を取り下げました。さらに、シャトー・ラ・ガフリエールも脱退しています。

シャトー・パヴィ・デュセスはシャトー・パヴィに含まれ、シャトー・レ・グラン・ミュライユはクロ・フルテに含まれることになりました。

シャトー・ラロゼとグラン・ポンテは、クラレンス・ディロン傘下のシャトー・クィンタスの一部となっています。シャトー・ラ・クロットは、兄弟シャトーのオーゾンヌとともに撤退し、キノー・ランクロもシャトー・シュヴァル・ブランとともに撤退した。



審査内容

今回の格付けは独立審査員によるブラインド・テイスティングの比率が上がり、50%にカウントされました。

グラン・クリュ・クラッセ (GCC) は、10ヴィンテージ、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ (PGCC) は、15ヴィンテージを試飲します。

GCCは20点満点中14点以上、PGCCは20点満点中16点以上が必要です。さらに、「A」は委員会の判断する、卓越したワインの熟成能力と評判に基づきます。

PGCCの試飲以外の評価は、国内外での評価、プロモーション、ワインツーリズム、流通の方法などに20%。テロワールに20%、ワイン醸造とブドウ栽培の技術に10%。

GCCの場合。テイスティング50%、国内外での評価、プロモーション、ワインツーリズム、流通の方法などに35%、テロワールに10%、ワイン醸造とブドウ栽培に5%。

新たに格付けに加わったシャトーは、バデット(Badette)、ブティス(Boutisse)、クロワ・ド・ラブリ(Croix de Labrie)、ラ・コンフェッション(La Confession)、ラ・クロワジーユ(La Croizille)、ラセーグ(Lassegue)、マンゴ(Mangot)、モンラベール(Montlabert)、モンリッセ(Montlisse)、ロル・ヴァランタン(Rol Valentin)、トゥール・バラドス(Tour Baladoz)、トゥール・サン・クリストフ(Tour Saint-Christophe)、クロ・バドン・テュヌヴァン(Clos Badon Thunevin)、クロ・デュブルイユ(Clos Dubreuil)、クロ・サンジュリアン(Clos Saint-Julien)などです。

2012年に外されたコルバン・ミショット(Corbin Michotte)が返り咲きました。

2022年のサンテミリオンの格付け

Premier Grands Crus Classes “A” プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ ”A”

Chateau FIGEAC シュトー・フィジャッ
Chateau PAVIE シャトー・パヴィ

Premier Grands Crus Classes “B” プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ ”B”

Chateau BEAU-SEJOUR BECOT シャトー・ボーセジュール・ベコ
Chateau BEAUSEJOUR HERITIERS DUFFAU LAGARROSSE シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロース
Chateau BELAIR MONANGE シャトー・ベレール・モナンジュ
Chateau CANON シャトー・カノン
Chateau CANON LA GAFFELIERE シャトー・カノン・ラ・ガフリエール
Chateau LARCIS DUCASSE シャトー・ラルシ・デュカス
Chateau PAVIE MACQUIN シャトー・パヴィ・マカン
Chateau TROPLONG MONDOT シャトー・トロロン・モンド
Chateau TROTTEVIEILLE シャトー・トロットヴィエイユ
Chateau VALANDRAUD シャトー・ヴァランドロー
CLOS FOURTET ク シャトー・トロットヴィエイユロ・フルテ
LA MONDOTTE シャトー・ラ・モンドット

Grands Crus Classes グラン・クリュ・クラッセ

Chateau BADETTE
Chateau BALESTARD LA TONNELLE
Chateau BARDE-HAUT
Chateau BELLEFONT-BELCIER
Chateau BELLEVUE
Chateau BERLIQUET
Chateau BOUTISSE
Chateau CADET-BON
Chateau CAP DE MOURLIN
Chateau CHAUVIN
Chateau CLOS DE SARPE
Chateau CORBIN
Chateau CORBIN MICHOTTE
Chateau COTE DE BALEAU
Chateau CROIX DE LABRIE
Chateau DASSAULT
Chateau DE FERRAND
Chateau DE PRESSAC
Chateau DESTIEUX
Chateau FAUGERES
Chateau FLEUR CARDINALE
Chateau FOMBRAUGE
Chateau FONPLEGADE
Chateau FONROQUE
Chateau FRANC MAYNE
Chateau GRAND CORBIN
Chateau GRAND CORBIN-DISPAGNE
Chateau GRAND MAYNE
Chateau GUADET
Chateau HAUT-SARPE
Chateau JEAN FAURE
Chateau LA COMMANDERIE
Chateau LA CONFESSION
Chateau LA COUSPAUDE
Chateau LA CROIZILLE
Chateau LA DOMINIQUE
Chateau LA FLEUR MORANGE
Chateau LA MARZELLE
Chateau LA SERRE
Chateau LA TOUR FIGEAC
Chateau LANIOTE
Chateau LARMANDE
Chateau LAROQUE
Chateau LAROZE
Chateau LE CHATELET
Chateau LE PRIEURE
Chateau MANGOT
Chateau MONBOUSQUET
Chateau MONTLABERT
Chateau MONTLISSE
Chateau MOULIN DU CADET
Chateau PEBY FAUGERES
Chateau PETIT FAURIE DE SOUTARD
Chateau RIPEAU
Chateau ROCHEBELLE
Chateau ROL VALENTIN
Chateau SAINT-GEORGES (COTE PAVIE)
Chateau SANSONNET
Chateau SOUTARD
Chateau TOUR BALADOZ
Chateau TOUR SAINT CHRISTOPHE
Chateau VILLEMAURINE
Chateau YON-FIGEAC
CLOS BADON THUNEVIN
CLOS DE L’ORATORY
CLOS DES JACOBINS
CLOS DUBREUIL
CLOS SAINT-JULIEN
CLOS SAINT-MARTIN
CONVENT OF THE JACOBINS
LASSEGUE

参考文献 / メディア

日本ソムリエ 協会教本 
WINE REPORT 


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