ナパと並ぶカリフォルニアワインの銘醸地「ソノマ」

ソノマ・カウンティについて

カリフォルニアワイン協会地図 より


ソノマ・カウンティ = Sonoma County は、アメリカのカリフォルニア州、ノース・コースト(黄色の部分)にある銘醸地です。

マヤカマス山脈を挟んでナパと隣接し、東西83km、南北75kmに広がる地域で、ナパ・カウンティの二倍ほどの大きさがあり、大小の谷や多くの丘陵地帯広がっています。

ソノマワインの特徴は? 質問を受けることがありますが言い表すことができません。
多様な気候風土を活かして造られるソノマのワインは、ぶどう品種や味わいの多様性が最大の魅力、60品種以上のぶどうが栽培され、425以上(2021年)ほどのワイナリーがあるといわれます。無理やりひとことで言うならば「多様性」なのでしょうか。

大きな面積がありながら、ワイン生産量はカリフォルニアワイン全体のわずか6%ほどで、生産者の約8割は、10ヘクタールほどの畑を所有する小規模のブティックワイナリーです。

またもう一方で、アメリカらしい巨大規模のワイナリーが存在するのもソノマ、E.& J.ガロ社やジャクソン・ファミリーで、それぞれ1,500ヘクタールに及ぶ畑を所有しています。

ソノマ・カウンティの西には太平洋が広がり、ここを通るカリフォルニア海流(寒流)の影響で水温が低く、海風を受けて冷涼な気候なのが特徴です。

多くのぶどうが栽培される中、特にピノ・ノワールやシャルドネなどを使ったエレガントなワインが近年高く評価されています。



ソノマ・カウンティのワイン産地 A.V.A.(2023年)

ソノマは土地の形成が多様で入り組んでいるため、A.V.A.の位置関係が把握しにくいようです。

大きなAVAの中に小さなAVAがいくつも含まれていたり、1つのAVAが2つの地域にまたがっているなど、フランスのA.O.C.とは様子が異なります。

ソノマ・カウンティには下記のように19のA.V.A.が存在しており、特にノーザン・ソノマ Northern Sonoma A.V.A.、ソノマ・ヴァレー Sonoma Valley A.V.A.、ソノマ・コースト Sonoma Coast A.V.A.は、大きなA.V.A.です。


・カーネロス Carneros / ロス・カーネロス Los Carneros
・ムーン・マウンテン・ディストリクト Moon Mountain District
・ソノマ・ヴァレー Sonoma Valley
・ソノマ・マウンテン Sonoma Mountain
・ベネット・ヴァレー Bebbett Valley
・パイン・マウンテン・クローヴァーデイル・ピーク Pine Mountain-Cloverdale Peak
・アレクサンダー・ヴァレー Alexander Valley
・ナイツ・ヴァレー Knights Valley
・チョーク・ヒル Chalk Hill
・ドライ・クリーク・ヴァレー Dry Creej Valley 
・ロックパイル Rockpille
・ロシアン・リヴァー・ヴァレー Russian River Valley
・グリーン・ヴァレー・オブ・ロシアン・リヴァー・ヴァレー Green Valley of Russian River Valley
・ソノマ・コースト Sonoma Coast
・フォート・ロス・シーヴュー Fort Ross-Seaview
・ノーザン・ソノマ Northern Sonoma
・ファウンテングローヴ・ディストリクト Fountaingove Distirict
・ペタルマ・ギャップ Petaluma Gap
・ウェスト・ソノマ・コースト West Sonoma Coast


ソノマカウンティの土地の形成は複雑です。
地図を見ながらソノマの位置関係を把握しつつ、AVAの気候と栽培しているぶどう品種をご紹介していきましょう。

Sonoma County グレーの太線で囲まれた部分    カリフォルニアワイン協会地図 参照 

ー ノーザン・ソノマ Northern Sonoma A.V.A.

ソノマ北東の内陸部を占める山地の多いエリアです。温暖で乾燥しているため、高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンを産出することで知られています。

ロシアン・リヴァー、アレクサンダー・ヴァレー、ドライ・クリーク・ヴァレー、ナイツ・ヴァレー、ロックパイルの各A.V.A.を含みます。


ロシアン・リヴァー・ヴァレー Russian River Valley A.V.A.

サンタ・ローサ Santa Rosaの町の西から北にかけて広がる地区です。


このA.V.A.は、平地と丘陵地のどちらも含んでいるため、気候に幅があります。


南部と西部は、海岸山脈が途切れるポイント (ペタルマ・ギャップ) に隣接するため、太平洋からの冷たい海風がダイレクトに吹き込みため冷涼な気候となります。加えて霧も多く発生するため、さらなる冷涼効果が生まれます。ぶどうの糖分蓄積スピードを遅め、高い酸を保持させ、アロマやフレーバーの要素をゆっくりと増やしてぶどうを完熟させます。主にピノ・ノワール種やシャルドネ種などのブルゴーニュ品種が栽培され、品質の高いぶどうが生まれます。

土壌は様々で黄色砂岩から石がちな砂質粘土ロームなど、基本的に水はけがよく痩せており、これが樹勢と収量を自然にコントロールする作用があります。

チョークヒル Chalk Hill A.V.A.

チョークヒルは、ロシアン・リヴァー・ヴァレーの北東部にあり、比較的温暖な気候で、白い火山灰土壌を有するシャルドネの有名産地です。土壌が貧しく、水はけが良い土地では高品質なソーヴィニョン・ブランも栽培されています。


アレクサンダー・ヴァレー Alexander Valley A.V.A.

マヤカマス山脈に近く温暖な気候です。
ヴァレーの底にあたる場所は砂利質土壌で、ナパ・ヴァレーと並ぶ複雑で凝縮した味わいの、高品質なカベルネ・ソービニヨンの産地です。 


ドライ・クリーク・ヴァレー Dry Creej Valley A.V.A.

周囲を湖や谷、山などに囲まれた複雑な地形の地区で、温暖な気候が特徴、一二を争うジンファンデルの高級産地として有名です。



ー ソノマ・ヴァレー Sonoma Valley A.V.A.

ソノマの南東部を占める広域 A.V.A.で、東のマヤカマス山脈と西のソノマ山脈の間にあるソノマ・ヴァレーを中心に、周囲をとり囲むようにベネット・ヴァレー、ソノマ・マウンテン。、ムーン・マウンテン・ディストリクト、ロス・カーネロスの各A.V.A.があります。

太平洋との間にソノマ山脈があるため、北部から中部にかけては太平洋からの影響がほとんどなく、温暖で乾燥した内陸性気候となり、南のロス・カーネロスに近づくほど冷涼な気候となります。


カーネロス Carneros / ロス・カーネロス Los Carneros A.V.A.

ここも配置がややこしい生産地、カーネロス A.V.A. の西半分はソノマ・カウンティ、東半分はナパ・カウンティに含まれます。

西側は、サンパブロ湾に近いことから冷たい海の影響を強く受けます。冷涼な気候は良質なシャルドネやピノ・ノワールを生み出しています。
これらのぶどうでつくられたスパークリングワインも高評価を得ており、フランスのシャンパーニュやスペインのカバの生産者がワイナリーをつくっています。



ー ソノマソノマ・コースト Sonoma Coast A.V.A.

ソノマ最大のA.V.A.で、多くの異なった気候区分や地形が存在しています。

太平洋のメンドシーノ・カウンティとの境界から、南のマリン・カウンティの境界線に沿ってサン・パブロ湾にかけてのエリア、内陸のロシアン・リヴァー・ヴァレーのほとんどを含む生産地です。

グリーン・ヴァレー、フォート・ロス・シーヴュー、ペタルマ・ギャップ、ウェスト・ソノマ・コーストが含まれていて、特に太平洋からの影響が大きく冷涼な気候となる地区が、新しいA.V.A.として承認されているのが特徴です。


ウェスト・ソノマ・コースト West Sonoma Coast A.V.A.

2022年に、第19番目のAVAに認められた新しい産地で、フォート・ロス・シーヴューを含んでいます。

太平洋から10キロ程度の海岸線に沿って広がり、標高450mを超える尾根にぶどう畑が点在していて、シャルドネやピノ・ノワールの評価が高い生産地となります。


ペタルマ・ギャップ Petaluma Gap A.V.A.

2018年1月に新設されたA.V.A.です。
ペタルマ・ギャップ(峡谷)は、海岸線が途切れている場所、太平洋で発生する霧と冷たい風がここから内陸に側に流れ込み、サン・パブロ湾にむかって吹き抜けます。

夜に霧が入り始めて、9時頃にはロシアン・リヴァー・ヴァレー辺りまで流れ込みます。夜半から朝に掛けて、さらに広域に渡って広がるものの、翌朝の午前中には霧が晴れるというサイクルの気候です。
ぶどうの果皮が厚く、凝縮度の高いぶどうから高品質なシャルドネやピノ・ノワールが生産されています。



おわりに

ソノマのワインはナパ・ヴァレーのワインに比べるとすこし影が薄いようにも感じますが、2023年に新しいA.V.A.のウェスト・ソノマ・コーストが認められるなど、注目の集まる産地です。

生産地は大きく、様々な気候や地形があることを考えると、今後ますます楽しみなワイン産地であることに間違いありません、目が離せませんね。