カリフォルニアで夢をかなえた日本人醸造家のお話

カリフォルニアでワイン作りに情熱を傾ける一人の日本人がいます、私市友宏(きさいちともひろ)氏です。私市氏は大阪府生まれの関西人、家が酒店だったこともあり若い青年の頃からさまざまなお酒に慣れ親しんでいました。


お店に並ぶ国内外のワインを色々飲んでいたある日、衝撃的な感動をうける素晴らしいワインに出会ってしまいました。

そのワインの名は“ラ・ターシュ”。



出会ってしまってからというもの、「ワインを造ってみたい」という衝動にかられ、その気持ちは日に日に大きくなっていきました。そして、「ワインをつくってみよう」という気持ちに発展、自分自身のワインをつくるのだと、酒店の主人をやめることにしました。

私市氏は半ば勘当同然でワイン造りの修行へ、選んだのはあの「ラターシュ」が生み出される土地、フランス、ブルゴーニュです。

この時、知人に「夢か、”まぼろし” みたいな話だね」と言われたそう。この言葉は、すっと心の片隅に残ることになりました。

その年である1991年に、米国人女性の奥様、レベッカさんと3歳になる詠美ちゃんを連れ立って、 1月からジュブレイ・シャンベルタンのドメーヌ・アルマン・ルソーで1年間働くことになりました。

ワイン好きな人なら、なんとラッキーな! と想像しますが現実は甘くありません。

待ち受けていたのは期待とはかけ離れた、過酷な肉体労働でした。


有名ワイナリーでの仕事は、ぶどうの木の剪定から房の摘み取り等、ありとあらゆる力仕事からなり、「ワインを造る」事からはかけ離れた単純作業でした。後に、この経験が現在の仕事の根幹をも担うことになるのですが、この時は知る由もありませんでした。

求人広告を頼りに他のワイナリーを回ってはみたものの環境はそう変わりそうにもありません。

幾人かの親切な人もいて、友人も出来ました。でも、何か違うのです。

二人は1年間のフランスでの経験を通して、フランスワインの出来上がってしまった”型”を実感し、自己実現の可能性はカリフォルニアにあると考えたのです。この方向転換は大正解でした。

カリフォルニアの澄んだ青い空の下、肉体労働者としてではなく、セラー・ワーカーとしての道を歩み始めることが出来るようになりました。ストーンストリート・ワイナリーのセラー・ワーカーから始め、ミシェル・シュランバージェ・ワイナリーでエノロジストの地位を得るまでに。

1999年にはついに、自分達のワイン「幻メルロー」を初めてリリース。

私市氏が知人に云われたあの言葉、「夢か “幻” みたいな話だね」・・・

二人のワインは「まぼろし」だったかもしれないワインという事で、「幻=まぼろしワイン」と名付けられたのでした。

ぶどうを購入し造り始めた「メルロー」そして、「カベルネソーヴィニョン」。

その後、レベッカさんも、サイモン・レヴィ・セラーズにてワインメーカー(醸造責任者)として活躍、2人でソノマのロシアン・リヴァ・ヴァレーに念願のピノノワール畑を購入しました。

敷地内に新居を構え、ピノノワールが植えられた畑と共に夢に向かって着実に一歩一歩前進してきました。

マボロシのような夢のスタートから早30年、自身の畑のピノ・ノワールの初リリースから20年が経ちました。現在は長い熟成を経ても焦ることのない素晴らしいワインになっています。

もちろん現在も、毎年、高いクオリティの素晴らしいワインが生み出され続けていますよ。



飲んでみませんか!!夢が叶ったピノ・ノワール

幻ワイナリー 
ロシアン・リヴァー・ヴァレー  ピノ・ノアール 2004
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「私市友宏」氏が日本を離れて13年目にして、やっと手に入れた”ヴィンヤードから記念すべき「初ヴィンテージ」のワインです。リリースされた当初、私市氏は「開くのに時間が必要」と語っていました、現在は見事に開いております。
熟成を経て、干したブラックベリーやカシスなどを思わせる複雑で豊かな果実味が楽しめますよ。



リリース2年目のヴィンテージです、とてもよい状態で熟成中!
幻ワイナリー 
ロシアン・リヴァー・ヴァレー  ピノ・ノアール 2005

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リリース3年目のヴィンテージ、三度目の正直でもやっぱり美味しい!
幻ワイナリー 
ロシアン・リヴァー・ヴァレー  ピノ・ノアール 2006

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テイスティングしてみました…

綺麗な赤紫色をしています、少しオレンジががっているでしょうか。粘性は高く、アルコールの強さを感じます。

熟したベリー系のフルーツ、すみれの砂糖漬け、八角やカンゾウなど東洋系のスパイスの香りも楽しめます。

口に含むとほのかに甘さが感じられます。黒い皮のチェリーを煮詰めたような濃縮した果実味が印象的です。

酸味は柔らかくとがった所はありません。

豊かな果実味を支えるバランスのよい渋みも感じられ素直に「おいしい!」という言葉がでてきます。

全体的にはまろやかで濃縮された果実味が楽しめる赤ワインです。難しいことを考えずに楽しめるワインなのではないでしょうか。




幻ワイナリー 「エイミー」 
ロシアン・リヴァー・ヴァレー  ピノ・ノアール 2009

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「エイミー」
幻ワインの10周年を記念する2009年、時期を同じくして大学を卒業した愛娘のエイミーに捧げる特別なワインが誕生しました。まだ4つの幼い頃、父が独自の最高のピノノワールを造る事に没頭していた傍らでエイミーはシャンベルタンのグランクリュ畑を飛び回っていました。そのエイミーも今や素敵なレディとなり、父の造る幻ワインも広く人気のワインとなりました。家族の思いが詰まった素敵なスペシャルキュベです。

ワイン・メーカーのコメント
2009年は穏やかな天候によりブドウの生育がスムースでブドウの房の熟し方も程よくハングタイムを長めに取る事が出来、9月の終わりに収穫を迎えました。秘められた凝縮感があり、長期熟成も楽しみなワイン、凝縮した果実の味わいとエレガントな酸の調和が美しいまさにエイミーのようなピノノワールです。




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