注目の南ブルゴーニュ! 「クリュ・デュ・ボジョレー」

はじめに

ブルゴーニュの南部に位置するワイン産地「ボジョレー」。
「軽い早飲みタイプのワインを大量生産する産地」と捉えている人が多いように感じます。

ところが、ここ最近イメージを一新するような「ボジョレー」が日本の市場にもたくさん登場し、情報誌をはじめワインショップの棚やレストランのリストでみかけるようになりました。

その背景には、生産地の個性が感じられる「クリュ・デュ・ボジョレー」の存在があるようです。優良生産者や、新しい世代のつくり手が生まれ、生み出される高品質なワインはバイヤーやソムリエ、ワインの有識者の間でも注目されています。



ボジョレー地区とアペラシオン

ボージョレーは、世界遺産のフランスの大都市リヨンの近くの生産地、電車で45分ほどの距離にある風光明媚の静かで美しい場所です。

ボジョレー地区は、北をマコネと接し、そこから55キロ南まで、幅20キロにわたって畑が広がる、ブルゴーニュ地方最南端のワイン産地です。ブドウ畑の面積は約1万5000ヘクタールあり、年におよそ80万ヘクトリットルのワインを生産します。

生産されるワインは、ほとんどが赤ワイン(95%)、ガメイ種からフレッシュでフルーティー、軽快なスタイルのワインが造られます。

このエリアを大きくカバーする、包括的なアペラシオンとしてボジョレーがあります。ボジョレー・シューペリュールは、ボジョレーとエリアの範囲は同じで、わずかに規定の厳しくなります。
市場でよくみかける「ボジョレー・ヴィラージュ」は北部38ヶ村に認められたアペラシオンです。

このエリアのアペラシオン

・ボジョレー 包括的なアペラシオン
・ボジョレー・シューペリュール
・ボジョレー・ヴィラージュ
・ブルゴーニュ・ガメイ

クリュ・デュ・ボジョレー 村名A.O.C.
・サンタムール
・ジュリエナ
・シェナ
・ムーラン・ア・ヴァン
・フルーリー
・シルーブル
・モルゴン
・レニエ
・コート・ド・ブルイィ
・ブルイィ


ボジョレー・ヴィラージュの中に上記の10のクリュがあります、この10のクリュを包括したのがブルゴーニュ・ガメイです。複数のクリュのワインをブレンドした場合、かつてはボジョレー・ヴィラージュでしたが、2011年ヴィンテージからブルゴーニュ・ガメイの表示が可能になりました。


土壌について

ボジョレー地区全体は南北に55キロの距離があります。土壌がとても多様な地域で、ユネスコの世界ジオパークにも認定されるほどです。


北部

北部の丘陵地帯は、花崗岩を基盤とした土壌、クリュのひとつ、フルーリーがその典型、シルーブルやレニエもおおむね花崗岩です。花崗岩土壌は風化すると砂となり、温かくガメイの栽培に適しています。

ボジョレーの土壌にみられる花崗岩は一般的に土地の人から「グラニット・ローズ (ピンクの花崗岩) 」と呼ばれます。

コート・ド・ブルイィや、モルゴンのコート・デュ・ピュイで典型的にみられる、「ピエール・ブルー (青石)」と呼ばれる閃園岩の土壌もみられます。この土壌は花崗岩土壌のワインよりしっかりとした骨格で、力強いワインを生むといわれます。

南部

南部は北部に比べ土壌が肥沃で平坦な部分が多く、粘土石灰質と砂岩の土壌がみられます。

「ピエール・ドレ(黄金石) 」といわれ、北部ブルゴーニュと同じジュラ紀の石灰岩で粘土と混じる粘土石灰質土壌を形成しています。

名前はゴージャスですが、ワインは普通クラスのものが多く、日本でも多く親しまれているボジョレー・ヌーヴォーは、ボジョレー地区全体の約1/3もの生産量にあたり、この南部のブドウから造られています。

この土壌は、シャルドネには適していて、近年、南部ではボジョレー・ブランが増える傾向にあるようです。



注目される「クリュ・ボジョレー」

自然派ワインの生産者の飛躍


2000年を少し過ぎたころから、徐々に自然派ワインの生産者に注目が集まるようになります。

ボジョレー地区に深く根差した「マルセル・ラピエール氏」は、それまでのボジョレーのイメージを覆し、新しい世界を切り開きます。これに、自分達の土地やガメイに誇りをもつ多くの生産者が続き、有機栽培的なアプローチで高品質なボジョレーの生産をはじめます。

マルセル ラピエールの甥であり、プリューレ ロックの醸造長も務めた人物のフィリップ・パカレもしかり。

パカレは、自然派ワインの祖ともいえるジュール ショヴェに師事し、寝食を共にしてショヴェの哲学やエスプリを引き継いだ経験をもち、酸化防止剤や農薬に頼らないでワインを造り、しかも熟成によるガメイの可能性を生み出しました。

ジュール ショヴェの残した哲学を受け継いでいる生産者の系譜を見ると、その影響の大きさを感じます。マルセル ラピエールをはじめ、ジュール シュヴェの弟子ジャック ネオポールからワイン造りを学んだヤン ロエル、その他にもフレドリック・コサール、イヴォン・メトラ、ジャン・フォイヤールなどなど。

昨今は、自然派ワインの生産者を中心に、新しい世代の職人気質の造り手は増える傾向で、テロワールの特徴を引き出した高品質なワインが生み出されてます。

ワインのつくりを見ると、全房によるセミマセラシオン・カルボニュックを用いる生産者が多いようですが、少し除梗したブドウを混ぜたり、抽出の仕方、熟成方法など、造り手の目指すワインのスタイルに応じて、細かい調整が行われます。

マセラシオン・カルボニュックと聞くと軽くてフルーティーなワインを思い浮かべる向きもありますが、上記のようなこだわりの生産者は長期熟成型のワインを生み出しています。

クリュ・デュ・ボジョレーの10のA.O.C.

サンタムール St. Amour
クリュ・ボジョレーの中で最北に位置するクリュ。サン・ヴェランとプイィ・フュイッセと同じ石炭岩があり、果実味が高く、柔らかく、ミネラル感のあるタイプのワインです。


ジェリエナ  Julienas
10のクリュの中で花崗岩の土地が少なく、片岩や閃緑岩い由来するピエール・ブルーの土壌、フレッシュで肉厚、表現力の豊かなワインが生まれます。レ・ムイユやレ・キャピタンといった畑名が付いたワインはより上質。

シェナス Chenas
シェナスはボジョレー地区で最小のクリュです。小さいながら2つの特徴の違う土壌が存在します。花崗岩土壌では、骨格がしっかりしたワインが生まれ、砂質土壌では繊細で柔らかいワインが生まれます。


ムーラン・ナ・ヴァン Moulin a Vent
ムーラン・ナ・ヴァンは村名ではなく、15世紀に作られた、この地域を象徴する風車を指します。エレガントで力強く、複雑性の富んたワインでモルゴンと並んで長命なタイプです。


フルーリー Fleurie
フルーリーのワインはフィネスがありフルーティーで最もエレガントなクリュといわれます。
年月を重ねて熟成すると複雑味が増し、臓物を使った料理とも合うような、若い頃とは全く違った成熟した姿を見せまてくれます。


シルーブル Chiroubles
シルーブル村のクリュで、最も高地に位置するA.O.C.です。この高さがフレッシュ感を生み、エレガントとバランスの良さ、フローラルなアロマが楽しめるタイプのワイン。タンニンが多くないため、2年以内に飲むのがおすすめです。


モルゴン Morgon
ヴィリエ・モルゴン村のクリュで、栽培面積はブルイイに次いで広い生産地で、土壌の大部分は花崗岩ですが、小高いル・ピィ山の斜面(コート・デュ・ピュイ Côte de Py)には火山性のピエール・ブルーがみられます。
ワインは肉厚で力強く、長期熟成に耐えうるタイプです。


レニエ Regnie
1988年に加わった最新のクリュです。フレッシュで香り高いタイプのワインが生まれます。


コート・ド・ブルイイ Cote-de Brouilly
ブルイイ山の斜面に広がるクリュです。表現力にあふれた、快活なワインが生まれます。


ブルイリー Brouilly
クリュ・デュ・ボジョレーの最南端に位置し、最大の生産量を誇ります。赤い果実の豊かな香りが特徴、まろやかでしなやかなワインがうまれます。


まとめ

クリュ・デュ・ボジョレーは、赤い果実のニュアンスだけでなく、土地の個性を反映した豊かで複雑な表情を持っています。さらに生産者の力量や個性が加わるとなると注目せずにはいられません。
何より、他のブルゴーニュワインに比較すれば安価です。バイヤーやソムリエ、有識者たちが注目するのもうなずけるのです。