はじめに

ボジョレーと聞くと「ボジョレー・ヌーヴォー」を思い浮かべ、フレッシュでフルーティーなワインを想像する人も少なくありません。

ところが最近、上記のワインと一線を引く、土地の個性が感じられる味わい深いボジョレー、ワンランク上の「クリュ・デュ・ボジョレー」に熱い視線が集まっています。クリュ・デュ・ボジョレーに認められた地域は10ヵ村ありますが、土地に魅せられた個性的で良い生産者が集まってきており、ガメイ単一の品種ながら、様々なスタイルのワインがつくられています。

つくり手によっては長期熟成も可能なワインがあり、となかなか多くの魅力が詰まっていて、情報誌などを発端にショップのバイヤーや、ソムリエ、有識者の間で注目されているのです。


今回は、クリュ・デュ・ボジョレーの中から「フルーリー」の熟成したワインを選び皆さまにご紹介いたします。




ドメーヌ・シニャール
フルーリー
キュヴェ・スペシャル ヴィエイユ・ヴィーニュ 2014


フルーリーの特徴

「フルーリー」はクリュデュボジョレー10ヵ村のひとつ。小さな丘と谷が連なり、斜面の傾斜が強いのが特徴です。

土壌は全体の90%がピンクの花崗岩、クリュ・デュ・ボジョレーの中で最もエレガントなクリュとされます。


ドメーヌ・シニャール

「ドメーヌ・シニャール」は、家族経営の小さな生産者、現在は四代目のセドリック氏 (写真) が運営しています。規模は小さいのですが、「フルーリと言えばこの人!このドメーヌ!! 」といわれるほど国内外で高い評価を得ています。


ロバート・パーカーは、セドリック氏の父上ミッシェル氏のワインを下記のように評価しています。

ドメ-ヌ・ミシェル・シニャ-ル  4ッ星
「シニャ-ルこそフル-リ無双の生産者である。そのワインは、ラズベリ-やスグリの果実味が見事にはちきれんばかり、舌触りは甘美でビロ-ドを思わせ、余韻もたっぷりしている。1985、87、88年と、フル-リ=レ・モリエを数多く堪能してきた。お手本のようなフル-リ-の味わいを知りたいと思うすべての人にこれを推そう。畑は7haで、オ-クの大樽に6ヵ月寝かせて瓶詰めする。」         ロバ-ト パ-カ- Jr. 「ブルゴーニュ」より


古い葡萄の樹

高評価を得ているシニャールのワインには特筆すべき大きな特徴があります。

樹齢が高いのです。

ヴィエイユ・ヴィーニュ(Vielles Vignes) は、「古いブドウの木」を指します。
通常ブドウは約3年でワイン造りができるようになるが、「V.V. 」は30〜40年以上の樹齢のブドウを用います。

ところが、シニャールのフルーリーはスタンダードなキュヴェで樹齢60年です。

さらに、今回紹介しております、キュヴェ・スペシャルは、セドリック氏が特別に選別し、樽詰及び瓶詰したワインで名前の通りかなり特別なもの。

「レ・モリエ」という畑の中の1915年に植えられた古い古い葡萄を使っているのです。

葡萄は樹齢20年を過ぎると木になる果実の量が減ります。樹齢の高い葡萄の根はしっかりと伸びて、地中からの栄養分をたっぷりと吸収します。少ない果実にたっぷりの栄養分が届くので、葡萄に含まれる味わい要素やエキスが凝縮されるというわけです。

セドリック氏によれば、
植密度は10,000本/haで、高樹齢の樹でもあることから、とても小さな葡萄の房しか実らず、高品質となります。そのため、グリーン ハーベストもしません。小さい葡萄の実は、果汁に対して果皮の比率が高く、より凝縮度が高くなります。収穫は手で行い、収穫の際と、ドメーヌに着いてからの2度選別します。収穫量は30hl/haです。

醸しは12日間で、まろやかなタンニンを得るために少し長くしています。マロラクティック発酵は228Lの樽で行います。樽(10%新樽、残りは10回までの古い樽)で18ヶ月熟成させます。樽は複数の産地ので、最低3年屋外で乾燥させ、内側を軽く焦がします。

現在のセドリック氏のこだわりは、「新しい葡萄樹に植え替えないこと」だそうで、それによって収穫量を減らし、品質を高めています。

テイスティングしてみました!

クリュ・デュ・ボジョレーの特徴、生産者のワインの背景がわかったところで、最後はやはりワインの味わい、テイスティングしてみました!


少しオレンジ色の入った濃い赤紫色をしています。色調は中程度ですが、一般的なガメイのワインと比べると濃い色をしています。

グラスに鼻を近づけますと、甘い良い香りがいたします。
赤い果実のジャム、黒いドライイチジク、レーズンブレッド、東洋系のスパイス、土っぽさやヨードを思させる要素、などなど複雑です。

全体的に、香りが華やかで強く感じられ、グラスを回すことはありませんでした。

口の含むと、滑らかさが印象的、まさにビロードのよう。

濃縮感があり果実のペーストを食べているような厚みのある味わい、豊かな果実味としっかりした酸味のバランスが高めの位置でまとまっていて美味しい。

フルーリーはエレガントといわれますが、エレガントながらスケール感のある奥行きが見事です。

現在、10年の時を経ていますが、まだまだ、今後10年はよい方向に熟成する力を持ったワインです。





※ ワインのコメントは十人十色、味わいの感じ方は人により異なりますのであくまでも参考程度にご覧ください。





ご紹介しましたワインは ↓ こちらから購入可能です。
ドメーヌ・シニャール
フルーリー キュヴェ・スペシャル ヴィエイユ・ヴィーニュ 2014






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