鍋と楽しむワイン|鍋のタイプ別・相性のいい1本

鍋のタイプ別に選ぶ、食卓を豊かにするワイン

寒い夜、湯気の立つ鍋を囲む時間。
それだけで、少し気持ちがほどけるものです。

そこにワインを添えるとしたら、
どんな1本がふさわしいのでしょうか。

「鍋にワインは難しそう」
「赤か白か分からない」
そんな声をよく耳にします。

けれど実は、
鍋はワインとの相性をとても感じ取りやすい料理です。

いつもの鍋を、少しだけ特別に。
ワインと過ごす、静かで豊かな鍋の時間を。鍋料理は一見シンプルですが、
実は「どこに重心があるか」で求められるワインが大きく変わります。

だしを味わう鍋。
発酵のコクを楽しむ鍋。
辛味を受け止める鍋。
そして――
肉そのものを楽しむ鍋。

余計な味付けがないからこそ、
ワインの酸や果実味、余韻の美しさが、
そのまま食卓に映し出されます。

ここでは鍋のタイプごとに、
味わいの流れを邪魔せず、
一口ごとに満足感を深めてくれるワインを紹介します。



あっさり系鍋に
透明感と躍動感のある1本

寄せ鍋や水炊きのような、
だしの旨みを楽しむ鍋には、
重さよりも“精度”の高いワインがよく合います。

例えば、南フランスのロゼに近い赤ワイン

ブルノ・デュシェン
ティテ 2025


フレッシュさの奥にある、2025年の深み

「ティテ(Titet)」は、
Petit Tete(小さな頭)から名づけられたキュヴェ。

グルナッシュ100%で仕込まれ、
例年はピチピチとした軽快さが印象的な赤(あるいはロゼに近い存在)ですが、
2025年は暑く乾燥した年だったこともあり、
果実の充実度がひときわ際立つ仕上がりとなっています。

色合いは赤ワインとしては淡く、
濃いロゼを思わせる美しい薔薇色。
しかし、グラスに注いだ瞬間に伝わるのは、
軽さではなく生命力の強さです。

アセロラやチェリーキャンディーを思わせる甘やかな香り、
口に含むと、果実味が一気に広がり、
はつらつとした酸がその輪郭をきれいに整えます。

タンニンは控えめで柔らかく、
飲み込んだあとに、ほのかな余韻として残る程度。
そのため、だしの旨みを邪魔することなく、
鍋の繊細な味わいを引き立ててくれます。


なぜ、あっさり系鍋に合うのか

このワインの魅力は、
「赤ワインの満足感」と「ロゼの軽やかさ」を
同時に楽しめる点にあります。

  • 昆布だしの鍋
  • 野菜中心の鍋
  • 鶏や白身魚のシンプルな鍋

こうした料理に対して、
重すぎず、しかし物足りなさもない。

ワイン単体で飲んでも楽しく、
鍋と合わせることで、
果実味・酸味・だしの旨みが自然につながっていきます。


いつもの鍋を、少しだけ特別に

ティテ 2025は、
「今日は気合を入れた料理」というよりも、
いつもの鍋を、少しだけ上質な時間に変えてくれる1本

派手さではなく、
造り手の技と葡萄の力が静かに感じられるワインだからこそ、
あっさり系の鍋と美しく寄り添います。

鍋の湯気とともにグラスを傾けながら、
南仏の太陽と、2025年という特別な年のエネルギーを
そっと味わってみてください。
韻を引き延ばすように寄り添います。



コク・発酵系鍋に
奥行きで受け止めるオレンジワイン

味噌鍋、豆乳鍋、ごま鍋。
発酵のコクが主役の鍋には、
同じく発酵の力を内包したワインを。

例えば、フランスアルザス地方のオレンジワイン 2021

ドメーヌ・ロベール・ロット
ホランジェ 2021 

味噌、豆乳、ごま。
発酵由来のコクや、舌に残る旨みを持つ鍋には、
その層を受け止められるワインが必要です。

ドメーヌ・ロベール・ロットの《ホランジュ 2021》は、
まさにそんな鍋に寄り添うためのようなオレンジワイン。


畑の力を、そのまま映したオレンジワイン

「ホランジュ(Horange)」という名前は、
Orange(オレンジワイン)と
ロット家の特別な畑 ホーンシュタイン を組み合わせたもの。

ロベール・ロットの生産量のうち、
わずか 2% しか造られない希少なキュヴェで、
ホーンシュタインの畑が持つ
力強さと緊張感が、素直に表現されています。

すべて同じ日に収穫した葡萄を、
除梗後、圧搾前に20日間の醸し。
この工程によって、
洗練された果実味の奥に、
しっかりとしたタンニンと構造が生まれます。


コクのある鍋と、旨みでつながる

ホランジュは、
オレンジワイン特有の香ばしさや複雑さを持ちながら、
どこか静かで落ち着いた印象。

出汁の旨み、味噌や豆乳のコクと重ねると、
ワインのタンニンが輪郭を整え、
鍋の味わいが「ぼやけず、締まる」感覚が生まれます。

  • 豆乳鍋のまろやかさ
  • ごま鍋の香ばしさ
  • 味噌鍋の奥行き

それぞれに対して、
ワインが前に出るのではなく、
旨みの受け皿として機能するのが、このホランジュの魅力です。


鍋の時間を、ゆっくり味わうための1本

ホランジュは、
一口目からわかりやすいタイプのワインではありません。

しかし、
鍋を囲み、会話をしながら少しずつ飲み進めるうちに、
じわじわと存在感を増してきます。

コクのある鍋を、
ただ「食べる時間」から
味わう時間へと変えてくれる

そんな静かな贅沢を感じさせてくれる1本です。

辛味系鍋に
辛さを包み込む、香り高い白ワイン

キムチ鍋やチゲのような辛味のある鍋には、
刺激に負けないだけでなく、
スパイシーな香りと果実味に厚みのあるワインがよく合います。

例えば、フランス・アルザス地方のスパイシーな白ワイン

ドメーヌ・ロベール・ロット
ミッテルブルク 
ゲヴェルツトラミネール 2020


キムチ鍋やチゲのように、
辛さと旨みが前に出る鍋には、
「辛さを抑える」よりも
辛さを受け止め、広げてくれるワインを合わせたいところ。

ドメーヌ・ロベール・ロットの
《ミッテルブルク ゲヴェルツトラミネール 2020》は、
まさにその役割を果たしてくれる1本です。


香りの強さが、辛味の輪郭を整える

グラスに注ぐと立ち上がるのは、
ライチや薔薇の花を思わせる華やかな香り。
そこに、スモーキーさやシナモンを感じさせる
甘いスパイスのニュアンスが重なります。

この香りの厚みが、
唐辛子の刺激とぶつかるのではなく、
その周囲を包み込むように広がります。

辛さだけが際立つのではなく、
発酵由来の旨みやスープの奥行きまで
自然と意識が向くのが、このワインの面白さです。


パワフルなのに、バランスが崩れない

口に含むと、
集約感のある果実味と、
ほどよく抑えられた酸味がバランスよく広がります。

やや辛口の仕上がりは、
キムチ鍋やチゲのコクと甘みを引き出しつつ、
後味を重たくしません。

鍋を食べ進めるほどに、
「もう一口飲みたい」と思わせる余韻があり、
辛味とワインが交互に続く、
心地よいリズムが生まれます。


強さのある鍋と、対等に向き合う1本

ミッテルブルクは、
ロット家が19世紀以前から所有する特別な畑。

そのテロワールがもたらす力強さが、
ゲヴェルツトラミネールの個性と重なり、
辛味のある鍋とも対等に向き合える存在感を生んでいます。

刺激的な鍋の時間を、
ただ「辛い」で終わらせず、
香りと余韻まで楽しむ時間へ

そんな広がりを与えてくれるワインです。



肉を楽しむ鍋に
旨みを引き立てる、エレガントな赤ワイン

しゃぶしゃぶや、甘さを抑えたすき焼き手前の鍋。
こうした鍋の主役は、だしではなく肉そのものです。

合わせたいのは、
力で押す赤ワインではなく、
肉の繊維や脂の甘みを美しく引き出す赤。

例えば、ドイツのピノ・ノワール

ベルンハルト・コッホ
ヘレンブッケル ピノ・ノワール
 2019

しゃぶしゃぶや、すき焼き手前の甘みを抑えた肉系鍋。
主役はあくまで肉そのものの旨みで、
ワインには「力強さ」よりも
寄り添うしなやかさが求められます。

ドイツ・ファルツの名手、
ベルンハルト・コッホのピノ・ノワールは、
そんな鍋のためにあるような1本です。


評価に裏打ちされた、静かな実力

ベルンハルト・コッホは、
ファルツ地方を代表するトップ生産者のひとり。

「ゴ・エ・ミヨ 2023」で赤4房、
「ヴィヌム 2023」で4つ星を獲得するなど、
その評価は国内外で確かなものとなっています。

使用される葡萄は、
フレムリンゲン村の単一畑
ヘレンブッケルのピノ・ノワール。

畑の個性を丁寧に引き出すことで、
力で押すのではなく、
質感で語る赤ワインに仕上がっています。


肉の旨みを引き出す、丸みと香り

グラスに注ぐと、
ピノ・ノワールらしい澄んだ香りに、
熟した赤い果実、
クミンやローリエを思わせるスパイスのニュアンス。

少し熟成した果実味には丸みがあり、
口当たりはなめらかで、
タンニンは細かく、角がありません。

この質感が、
牛肉や豚肉の繊維感と自然に重なり、
肉の甘みと旨みを引き立てます。


鍋の後半まで、心地よく続く赤

肉系鍋は、
食べ進めるにつれて味わいが濃くなりがちですが、
このピノ・ノワールは、
最後まで重たさを感じさせません。

  • しゃぶしゃぶの後半
  • 野菜や豆腐が煮込まれたスープ
  • 〆に向かう流れ

そのすべてに寄り添いながら、
食卓のリズムを崩さず、
静かに満足感を積み重ねてくれます。


肉を主役にした、上質な鍋時間

ベルンハルト・コッホのピノ・ノワールは、
鍋を“ワインのための料理”にするのではなく、
鍋のためのワインとして機能する存在。

肉をしっかり楽しみながら、
赤ワインの美しさも味わえる。

そんなバランスの取れた鍋の時間を、
さりげなく格上げしてくれる1本です。


まとめ
鍋と楽しむワイン|鍋のタイプ別・相性のいい1本

鍋は日常、でもその時間は特別にできる

鍋は特別な料理ではありません。
だからこそ、
どんなワインを選ぶかで、その夜の印象は大きく変わります。

丁寧につくられたワインを添えることで、
いつもの鍋が、
少しだけ記憶に残る食卓になる。

鍋のタイプに合わせて選ぶ1本が、
その夜を、静かに豊かにしてくれます。



鍋に寄り添う1本を見る

ブルノ・デュシェン ティテ 2025
ドメーヌ・ロベール・ロット ホランジェ 2021 
ドメーヌ・ロベール・ロット ミッテルブルク ゲヴェルツトラミネール 2020
ベルンハルト・コッホ ヘレンブッケル  ピノ・ノワール 2019

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