ヴァレンタインデーが近づいてきましたね。
この時期とても人気の高いワインがあります、その名もずばり「テラ・ヴァレンタイン」。
まずラベルをご覧あれ!
とても素敵・・・。
もちろん、好みや見解にもよるのだが、このワインのラベルを最初に見た時、「まあ、なんと洒落たラベルなのかしら」と思った、のを今でも覚えている。
ワイナリー名の “テラ” はラテン語でランド(地)を意味する言葉。ワイナリーのある、標高の高い場所、この場所を特徴付けるヒルサイド土壌の重要性を指し示している。
“ヴァレンタイン” はオーナーの父、会社を起業したヴァレンタイン・ウォルテル氏に敬意を表してつけられたもの。
ワイナリー名はヴァレンタインデーとは関係ないようですが、ワインのラベルはヴァレンタインデーを間違いなく意識してる、上手にモチーフとして取り込んでる。
今年もお客様から「ワインの状態はどんな感じですか」と問い合わせがきて、前回のテイスティング後二年経過、様子をみるため味わってみることに。
テラ・ヴァレンタイン
ナパ・ヴァレー
スプリング・マウンテン・ディストリクト
イヴェルドン・ヴィンヤード
カベルネ・ソーヴィニヨン 2006
グラスを傾けると淵に茶色がかったオレンジの見える、黒っぽい赤色色調はグラスの向こうが全く見えないほど濃いものです。
香りは華やかにして複雑、レンガを思わせる土の香り、錆の要素も、タバコ、葉巻、ビターチョコレートのような甘い香りも存在します。
黒コショウやグローブ、ナツメグを思わせる葉っぱではない実のスパイス、サラミ、血液、鉛筆の芯のようなニュアンスも感じられます。
全体的には魅力的で深い香りが楽しめます。
ワインを口に含んでみると、その濃さに圧倒されます。
甘ったるい濃さではなく、しっかりとした酸味を備えた濃厚な果実味、丸くはなっているが主張のある渋みを感じます。
それらの味わいは個々に主張するものではなく、バランスよく溶け込んで非常に高い位置でまとまっております。
「山系のカベルネ」と称される、標高の高い畑からの葡萄を感じさせてくれる、太さと奥行きのある果実味、しっかりした酸味が印象的です。
スプリングマウンテンの土地の個性なのでしょう。しっかりと感じられる酸味には気品すら感じ、16年の時を経てもまだまだ若いと感じさせてくれるタンニン分もあいまって、今後、10年はさらに良い方に熟成していくであろうことを予感させてくれます。
複雑な香りの要素は味わいにも感じられ、スパイス、葉巻やビターチョコレート、ブラックのオリーブのような風味も楽しめます。
青かびタイプのチーズとバケットのような簡単なおつまみから、手の込んだ肉料理とも楽しめる、深い味わいのスケールの大きなワインです。
実は、上記のコメントは2022年の1月のもの。
お客様からの問い合わせがあり再度テイスティングしてみると、結果、大きな変化なし。
スケール感のある味わいは健在でこのクラスになると2年くらいの熟成では変わらないのだと確認、ワインの保管・保存にもかなりお金をかけているので安心の良い状態。
ラベルには生産者の思い入れが詰まっている
話はそれて・・・
30代前半だったころ、オーストラリアにワインの研修旅行で行った。
当時はまだ現在のように、日本への西オーストラリアのワインは多く輸入されておらず、研修旅行のコーディネーターは数社のインポーターさんであった。
この土地のワインを日本へ紹介するという意図のある研修旅行のようで、ガイドには西オーストラリアの州政府の方がついてくれた。
ワイナリーを訪れ、葡萄畑や醸造所を見学、ワインのテイスティングをしながら、生産者の方とディスカッションをするなかなかハードな研修旅行だった。
夜はワイナリーの方々との懇親会、日本でのオーストラリアワインの扱われ方や市場の動向をさりげなく聞かれ、準備はしていたものの緊張したのをよく覚えている。
そんな中、とあるワイナリーのご婦人から「このワインのラベルはどうかしら?」と聞かれた。
疲れていたので忖度をせず、「シンプルで素敵なラベルですが、ワインの濃さや味わいは想像できませんね」というような返事をした、と思う。通訳してもらったのであいまいだが。
この返事、オーナーの奥様であるご婦人はたいそう気に入らなかったらしい。
「プレミアムで高貴なワインはシンプルなラベルなのよ」、ぴしゃりと言われた。
意見を聞かれたラベルは、どうやらオーストラリアのプレミアムで高貴なワイン、ペンフォールドのグランジを意識したであろう、とても思い入れの強いラベルだったのだ。
そういえば、その時飲んでおり、ラベルのコメントを聞かれたワインは濃厚で長期の熟成に向く “シラーズ” であった。
恐らく、質問に対するよい答えは「気品を感じさせるラベルですね」だったのだ。
そう、ラベルは白い台紙に生産者の名前と葡萄の品種、年号、文字の上に家紋か植物の小さい絵柄が印刷されていた。
ワインの豊かな味わいを褒めたかっただけなのに・・・。
答えはグランジへのリスペクトだったのね。
ラベルには良い思い出もそうでない思い出もたくさんある。
これを教訓とするならば、ラベルには生産者の強い思いが込められており、安易にコメントをしては否ということである。
さて話を戻し、もう一度ラベルを見て欲しい。
人が “矢”を放とうとしている、矢の後ろにはハートのモチーフ。
この「矢」の行方は?
ワインを抜栓して、コルクを見ると・・・
“的” が印刷されているのである。
ヴァレンタインデーのプレゼントにとご注文をいただいた時、必ずお客様に伝えているオーナーのこだわり、お客様にも好評だ。
ラベルのこだわりは、こんな感じがよい!
わかり易いし、楽しい…。
お買い上げいただいたお客様からその後、「あいまいだった関係がハートの矢のおかげで進展しました」嬉しいメールもいただいている。
※ワインのコメントは十人十色、あくまでも参考程度に読んでいただければ幸いです。
ご紹介しましたワインは ↓ こちらから購入可能です。
テラ・ヴァレンタイン
ナパ・ヴァレー スプリング・マウンテン・ディストリクト
イヴェルドン・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨン 2006