
ヴィンテージワインとは?
ワインには大きく分けて、若いうちに飲んで美味しいワイン、熟成により深みを増して美味しくなるワインがあります。「ヴィンテージワイン」と聞くと後者のワインを想像する人が多いかと思います。
ワインの世界では「ヴィンテージ」は、原料となった葡萄が ”収穫された年” を示す言葉として使われます。
収穫されて年から10年以上たったワインを、ヴィンテージジーンズのように “年代物” である “古くて価値があるもの” と表現する場合もあります。ワインの世界での「ヴィンテージ」という言葉、使われる時と場所により、異なった側面を持つ場合があることも知っておくと良いですね。
ヴィンテージワインは何年から?
ヴィンテージワインは何年たつとそうよばれるの? よく聞かれる質問です。
これについてはワインの法律などで決められていません、また、ソムリエ協会のテキストなどにも記載されておらず、とてもあいまいです。
konishi1924では、おおまかにとらえ、ラベルに表記されている年から10年ほど経過したワインを「ヴィンテージワイン」と考えています。
ファッションの世界、例えばジーンズ、ブランドの洋服、レースや宝飾品などを見てみると。
アメリカの関税に関する法律ではヴィンテージとアンティークを「製造されてから現在までに何年経過しているか」によって明確に区別しています。
「ヴィンテージ」は、製造されてから30〜99年経過しているもの
「アンティーク」・・・製造されてから100年以上経過しているもの
日本の骨董品や古美術品などもあいまいな要素を多く含んでいますね。
最近よく耳にする「生まれ年のワイン」はどうでしょうか。
日本の法律では、20歳未満の者の飲酒を禁止する、と定められています。ある人が「生まれ年のワイン」を飲む、と考えた場合、少なくとも20年以上前のワインが対象となります。 20年以上前のワインであれば、「ヴィンテージワイン」と捉えることに異を唱える人はいないでしょう。
ヴィンテージワインの保存について

ヴィンテージワインをいただいたのですが、飲むまで少し時間があるので、保存するのに、注意することはありますか?」
よくいただく質問です。
「ヴィンテージ」は、原料となった葡萄が ”収穫された年” を示す言葉として使われます。「ヴィンテージワイン」となると、熟成により深みを増して美味しくなった、また、価値の高いワイン、として認識されることが少なくありません。
そんな「ヴィンテージワイン」を保存するにはどのような注意が必要なのでしょうか。
ワインを保存する場合、次の三つの点に注意が必要といわれます。
・温度と湿度
・光
・振動
温度の管理、ヴィンテージワインは温度変化に非常に敏感であり、適切な温度で保管することが必要です。15℃〜18℃での管理が好ましいといわれ、この範囲を超えた高温や低温はワインの品質を損ねる原因となります。
ワインにとって光は大敵、直射日光が当たらない場所を選ぶことが重要です。特に紫外線はワインの味や香りを損なうことがあり、ヴィンテージワインの保存においては光の影響を最小限に抑えることが求められます。保管する場所を選ぶ際には、窓の近くや明るい場所を避け、暗い場所を選ぶことが大切です。
現在、デイリーワインなど手頃な価格のワインはスクリューキャップや樹脂コルクで栓がされています。熟成に耐えうるポテンシャルの高いワインを見てみると、そん多くにはコルク栓が用いられています。湿度が低いとワインボトルのコルクが乾燥し、酸素が入り込む可能性が高まります。保管には55%〜75%程度の湿度が推奨されています。湿度が高すぎるとカビや腐敗の原因となりますので注意しましょう。
10年、20年の熟成期間を経たヴィンテージワインはとてもデリケートになっています。大きな振動は、ワインの組成にとって好ましくありません。振動によってワインの諸成分が不溶性になって変調をもたらす可能性が高まるのです。
温度と湿度を考えた場合、冷蔵庫の野菜室へ、ワインを新聞紙で包んで保存、という考えも出てきます。しかし、冷蔵庫はドアの開閉により多くの振動をワインに与えることになり問題です。
「ヴィンテージワインを長期保存する」と想定した場合、静かな場所にワインセラーを設置するのが好ましいようです。記念日などにいただいた場合には、早めに消費することをおすすめいたします。
ヴィンテージワインと「当たり年」
ワインを買おうとして、レストランで注文する際に・・・
店員さんやソムリエさんに「このワインは当たり年なんで美味しいですよ」なんて言われたことはありませんか。
贈り物に選ぶ高級なワインの売り場で、記念日に楽しむヴィンテージワインを前に、ワイン会などで、耳にしたことのある言い回し。
「当たり年」というのはなんでしょう。
一般的には「優れたワインが生産される年」を指し示します。
葡萄が育った気象条件、生育状況、また、収穫時の気象条件や葡萄の状態など、いくつかの要素が含まれ、醸造を終えて素晴らしい品質のワインが生み出された年を「当たり年」と呼びます。
この「当たり年」、世界の数あるワイン産地によって異なり、生産されるワインのスタイル、白ワインや赤ワイン、葡萄品種によっても違いが出てきます。
今も過去にも注目度が高い生産地はフランスのブルゴーニュ地方、ボルドー地方、シャンパーニュ地方があげられるでしょうか。
ワインの当たり年を知りたい場合、よく参考にされるのがヴィンテージチャート、収穫年ごとにブドウの出来具合や品質を評価した一覧表です。

上記のヴィンテージチャートは、ワイン評論家であるロバート・パーカーが発行しているワイン雑誌「ワイン・アドヴォケイト」の一部です。
ワインの品質は、ブドウの生育状況に大きく左右されるため、ヴィンテージチャートはワイン選びの参考になります。
様々な国で、ワイン市場に携わる多くの人が参考にしており、100点満点や5段階評価などで、年ごとのブドウの出来具合を評価します。評価の高い年が「当たり年」、低い年が「はずれ年」となります。
「当たり年」のワインは評価の数字が高く、ワインは「高値で取引される傾向にあります。
参考にしたいヴィンテージチャートは色々、検索すると簡単に「当たり年」を調べられますよ。
ヴィンテージワイン、美味しいの? まずいの?
「ヴィンテージワイン、美味しいの? まずいの?」
ヴィンテージワインを販売していることから良く聞かれる質問です。
実のところどうなのでしょう・・・
過去のワイン会から、参考になる例を挙げてみます。
ワイン会は二ケ月に一度、十年間ほど行っていました。
LSK WINE CLUB という会を設けて、会員の方に参加いただいていたワイン会です。
一般の方、30代~40代の方が中心、ワインを嗜む、ワインに興味があるくらいの方が多く、比較的気軽な会でした。現在のようなワイン好きの人が集まる「ワイン会」とは一線を引く内容です。
このワイン会で二度、かなり貴重なヴィンテージワインを味わってもらったことがあります。
・ボデガス・ベルベラーナ リオハ グラン・リゼルバ 1950
・シヴィ―ル バニュルス グラン・クリュ 1947
この二点は異なるワイン会で出しました。
リオハの赤ワインは状態もよく、枯れた印象ですが、果実味も残っており充分に満足を得られる品質でした。
バニュルスは南フランスの甘口の赤ワインです。こちらはまだまだ元気で満足度も高く、参加者の方にも好評でした。
参加者は前述の通り一般の方です、味わいについてディスカッションするのではなく、好みを聞くスタイルを取っていました。
「美味しい」、「まあまあ」、「苦手」と聞いて参加者に手を挙げてもらっていました。
大変貴重なかなりの古酒、市場でもあまりまかけません。
それでは、「美味しい」に多くの人が手を上げがのでしょうか。
リオハのワインには「まあまあ」の意見が多く、バニュルスには「美味しい」と感じる人が多くいました。参加者は30名強でしたが、「苦手」→「まずい」に手を挙げた人がどちらのワインにも3~5名ほどいました。
苦手、まずい、と感じたのはなぜでしょう。
話は飛んで、「まずい」とはどういうことなのか、辞書を引いてみました。類語、言い換え、同義語が下記のように記されていました。
1. 質または性能において平均を下回る
不良, へぼ, 下手糞, こっ酷い, 下手 など
2. 感覚的に不快な
不細工,醜, みにくい, 見ぐるしい, 不器量 など
3. 表現が上品でない、または優雅ではない
不得意, ぎごちない, ぶきっちょ, つたない 不得手 など
4. 技術または適性の欠如を示すさま
不手際, ぎごちない, 無器用, ぎこちない, 非力 など
5. 望ましくない、または否定的な品質の
良からぬ, 悪い など
さて、本題にもどります。
次のワイン会に向けて参考にしたいからと「苦手・まずい」と感じた人に簡単に意見を聞いてみました。
「香りが苦手」、「いつも飲んでいるワインと何か違った」、「甘いワインは好きではない」
などの意見を聞けました。
上記の辞書から引用した言葉をあてはめてみると実に納得です。
「香りが苦手」→ 2,3,5 が該当
「いつも飲んでいるワインと何か違った」→ 1,4 が該当
「甘いワインは好きではない」→ 2,5 が該当
熟成したワインには時に「獣臭」や「醤油」を思わせる香りが出ます、苦手と感じ、まずいにつながったのでしょう。
日常から古酒を楽しむ人は多くありません、いつもは若のみスタイル、年号の新しいワインを楽しんでいる人は、古酒に違和感を覚えるのは当たり前です。
ワインに甘さを期待しない人にとって、甘いワインは5番の望ましくない味わい、否定的な品質のワインに該当するようです。
以上のように、ワインを飲む人や経験により、好みや違和感が出ても不思議ではないのです。
アンケートには「想像していた味と違った」という意見もありました。
「熟成したワインは美味しい」、「熟成させると美味しい」、これは好みによるところが大きいようです。
ヴィンテージワインは、味わいも複雑、個性豊か、価格は安くありません。好みに合わないと期待にそぐわずがっかりすることに。「まずい」と感じるワインではなく、「好みにあったワイン」を選びたいとこと。
専門的な知識があれば問題ありませんが、一般の人であれば、専門家に相談することをおすすめします。恥ずかしいと思わず、ソムリエに聞くのが「まずい、苦手」などと感じてしまうヴィンテージワインを手にしないヒントかと思います。
まとめ
今回は、ヴィンテージワインを販売していてよく聞かれる質問を中心に展開してみました。
結婚、子どもの誕生、昇進、会社の設立など
人生には、ふと立ち止まって深呼吸したくなるような「節目」があります。
そんなとき、ただ美味しいだけでなく「その年の意味」を感じられるワインがあったなら、
その瞬間は、より深く、やさしく、心に残るものになるのではありませんか。
ヴィンテージワインが人生の節目により彩を添えられたなら素敵ですね。