光を飲む休日

昼の光が、
いつもより少しだけやわらかく感じる日があります。
急ぐ理由もなく、
誰かと会う予定もない。
音楽もつけず、
テレビも消したまま。
窓から入る風と、
グラスの中の細かな泡を眺めながら、
昼のシャンパーニュをゆっくり飲む。
何かをするためではなく、
ただ時間を味わうための一杯。
そんな休日が、
たまにはあってもいいのかもしれません。
ル・メニル・シュル・オジェの静けさ

今回選んだのは、
Bernard Pertoisの
ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ。
シャンパーニュ地方、ル・メニル・シュル・オジェ。
ベルナール・ペルトワは、シャルドネの聖地とも呼ばれるこの村で、10世代以上続く小さなRM(レコルタン・マニピュラン ※)です。
年間生産量はわずか1.7万〜2万本ほど。
そのほとんどは、長年このシャンパーニュを愛するヨーロッパの顧客たちのもとへ渡っていきます。
派手に知られている造り手ではありません。
けれど、静かに飲み続けられてきた理由が、グラスを傾けると少しずつ見えてきます。
このブラン・ド・ブランは、
95%がル・メニル・シュル・オジェ、
5%がオジェのシャルドネ。
葡萄をしぼる工程で、最初に垂れてくる最も純粋で高品質な果汁(一番搾り)から作られるワインを指す「テット・ド・キュヴェ」のみを用い、
約3年間の瓶熟成を経てリリースされます。
グラスに注ぐと、
きめ細かな泡とともに、
白い花、柑橘、ほんのりとしたブリオッシュの香り。
口に含めば、
まっすぐに伸びる酸と、
透明感のあるミネラル。
それでいて、どこか柔らかく、
飲み手を急かさない静けさがあります。
強く印象を残そうとするのではなく、
気づけば、時間そのものが心地よく変わっている。
そんなシャンパーニュです。
昼のワインに必要なのは、「余白」
夜のワインには、
深さや余韻を求めたくなることがあります。
けれど、昼のワインは少し違います。
重すぎず、軽すぎず。
香りが前に出すぎず、
けれど確かに美味しい。
飲み手の時間を埋めるのではなく、
そっと余白を残してくれること。
昼のワインには、
そんな静かなバランスが必要なのかもしれません。
ベルナール・ペルトワのブラン・ド・ブランは、
まさにその感覚の上にあります。
読みかけの本。
まだ片付いていないテーブル。
ゆっくり流れる午後。
そんな風景の中で飲んだとき、
このシャンパーニュは、
はじめて完成するように思えるのです。
何もしない日のために
特別な日でなくてもいい。
理由がなくてもいい。
何もしない日の昼に、
グラスをひとつ用意する。
それだけで、
その一日は少しだけ、
記憶に残る時間になります。
ワインとは、
誰かを祝うためだけのものではなく、
自分の時間をゆっくり取り戻すためのものでもあるのかもしれません。
もし、そんな時間を過ごしたくなったら、
このシャンパーニュを思い出していただけたら嬉しいです。
ご紹介したワイン

ベルナール・ペルトワ
シャンパーニュ グラン・クリュ
ブラン・ド・ブラン ブリュット
ル・メニル・シュル・オジェ NV
→ 詳細・購入はこちらから
※ RM Récoltant Manipulant レコルタン・マニピュラン
自社畑で収穫したぶどうのみをもちいて、自らシャンパーニュを生産する栽培醸造家。現在、シャンパーニュ地方には多数存在し(4000件以上ともいわれ)増え続けています。土地の個性やつくり方の違いを前面に出した独創的なスタイル、また、新世代の台頭も著しく、シャンパーニュ生産者の中で最も注目を集める業態です。