何もしない日のピノ・ノワール

休日の終わりは、
少しだけ寂しい。
明日が近づいてくる気配。
静かになった部屋。
読み終えた本を閉じる音。
けれど、
その時間が嫌いではありません。
何かを頑張った日ではなく、
特別なことをしなかった休日ほど、
夜に飲むワインは、
静かなものが似合う気がします。
今回開けたのは、
ドイツ・ファルツのピノ・ノワール。
Bernhard Koch
ヘレンブッケル ピノ・ノワール 2020です。
静かな存在感を持つピノ・ノワール
ベルンハルト・コッホは、
今やドイツ・ファルツを代表する生産者のひとつとして高く評価されています。
けれど、
このワインには、
“強さ”よりも、
どこか静かな落ち着きがあります。
フレムリンゲン村の単一畑「ヘレンブッケル」。
砂岩と石灰岩が混ざる土壌。
収量を抑え、
丁寧に手摘みされた葡萄。
新樽ではないフレンチオークで、
ゆっくり時間をかけて熟成されています。
そのせいでしょうか。
このピノ・ノワールには、
何かを誇示するような派手さがありません。
やわらかく、夜に寄り添う味わい

グラスから立ち上がるのは、
熟した赤い果実の香り。
そこに、
クミンやローリエのような、
少し乾いたスパイス。
時間が経つにつれて、
果実味は丸みを帯び、
口当たりは驚くほどなめらかになっていきます。
華やかというより、
落ち着くワイン。
夜が深くなるほど、
静かに寄り添ってくるような味わいです。
何もしない休日のために
このワインを飲みながら思い出したのは、
「休日は、
何かを満たすためだけにあるわけではない」
ということでした。
何もしない。
誰にも会わない。
予定を入れない。
そんな一日があるからこそ、
また日常に戻っていけるのかもしれません。
小さな村の静けさ
ベルンハルト・コッホの醸造責任者は、
日本人の坂田千枝さんです。
17歳の時、
ドイツの葡萄畑の景色に魅了され、
そのままワイン造りの道へ進みました。
今は、
ファルツの小さな村、
ハインフェルドでワインを造っています。
「本当に綺麗な場所なんです」
という言葉の通り、
このワインには、
どこか風景の静けさがあります。
テレビを消したあとの時間
夜9時。
テレビを消し、
音楽も小さくして、
ただワインを飲む。
そんな夜に、
このピノ・ノワールはよく似合います。
強い感動ではなく、
静かな満足。
休日の終わりを、
少しだけ好きにしてくれるワインです。
ご紹介したワイン

ベルンハルト・コッホ
ヘレンブッケル ピノ・ノワール
クヴァリテーツヴァイン トロッケン 2020
ドイツ・ファルツの静かな空気を感じる、
やわらかく落ち着いたピノ・ノワール。
何もしない休日の夜に、
ゆっくり開けたくなる一本です。