時間を経たナチュラルワインという楽しみ|若い果実の瑞々しさから、熟成が育む複雑な味わいへ

はじめに

ワインには、時間を重ねることでしか出会えない美味しさがあります。

若い頃の華やかな果実味。生き生きとした酸味。それらが少しずつ溶け合い、やがて複雑で奥行きのある味わいへと変化していく。

それは、ナチュラルワインも例外ではありません。

自然な造りを大切にしながら、十分な果実味と酸を備えたワインの中には、年月を経ることで新たな魅力を見せてくれるものがあります。

ヴィンテージワインを長く扱ってきたkonishi1924がご紹介する、もうひとつのナチュラルワインの楽しみ方です。


ナチュラルワインは熟成するのか

ナチュラルワインというと、瑞々しい果実味を若いうちに楽しむワインを想像される方も多いかもしれません。

確かに、収穫されたブドウの生命力を感じさせる、軽やかでジューシーなワインには、若いうちならではの魅力があります。

一方で、しっかりとした果実味や酸、味わいの骨格を備え、時間をかけて楽しめるナチュラルワインも存在します。

ただし、自然な造りであれば、どんなワインでも長期熟成に向いているというわけではありません。ブドウの品質や醸造方法、酸化に対する安定性、瓶詰め後の保管環境などによって、熟成の可能性は大きく異なります。

だからこそ、造り手の個性やワインの状態を見極めることが大切です。

konishi1924では、単に古いヴィンテージという理由ではなく、時間を経た今、そのワインがどのような美味しさを見せてくれるのかを大切にしています。


時間を経ることで、味わいはどう変わるのか

若い頃の、瑞々しい果実味

若いナチュラルワインには、摘みたての果実を思わせる香りや、生き生きとした酸味が感じられます。ブドウ本来の個性が前面に現れる、鮮やかで伸びやかな味わいです。


時間が育てる、複雑な香り

熟成が進むと、フレッシュな果実の香りに、ドライフルーツや蜂蜜、スパイス、ナッツなどを思わせるニュアンスが重なることがあります。若い頃には感じられなかった、複雑な香りを楽しめるのも魅力です。


果実味、酸味、旨味がひとつになる

若い頃にはそれぞれ際立っていた果実味や酸味、渋みが、年月とともに馴染んでいく。角が取れ、口当たりにまろやかさが生まれ、余韻にも奥行きが感じられるようになります。

もちろん、すべてのワインが同じように変化するわけではありません。

若々しい果実味を残したまま熟成するものもあれば、熟成によって香りや旨味が大きく変化するものもあります。その違いもまた、時間を経たワインを楽しむ面白さです。


konishi1924が紹介する、時間を経たナチュラルワイン

セバスチャン・リフォー 
サンセール アクメニネ 2014

― ロワール/ソーヴィニヨン・ブラン/熟成した白ワイン

グラスに注ぐと、ほんの少し褐色を帯びた黄金色。

熟したアプリコットやマンゴーのジャム、濃厚な蜂蜜を思わせる香りに、チーズケーキやシナモン、ミントのニュアンスが重なります。

香りそのものは決して派手ではありませんが、ゆっくりとグラスに向き合うほどに複雑な表情が現れます。

口に含むと、まず感じるのはたっぷりとした旨味と豊かな果実味。完熟したブドウを思わせる芳醇さがあり、その中に酸味がきれいに溶け込み、全体をまろやかにまとめています。

若いソーヴィニヨン・ブランに期待する爽快な香りやシャープな酸とは異なる、時間を重ねたからこそ生まれた、芳醇でふくらみのある艶やかな味わい。

果実味、酸味、旨味が時間とともに溶け合っていく。
熟成したナチュラルワインの魅力を、とてもよく感じさせてくれる一本です。


シャトー・ドルシュヴィール
アルザス ピノ・グリ
グラン・クリュ ランゲン 2003

― アルザス/ピノ・グリ/熟成した甘口白ワイン

グラスに注ぐと、少しオレンジを帯びた美しい黄金色。

透明感があり、べっこう飴を思わせる艶のある色調に、20年以上という時間の積み重ねが感じられます。

最初に現れるのは、レモン風味の焼き菓子を思わせる甘く香ばしい香り。そこに蜂蜜やべっこう飴が重なり、時間とともにナツメグを思わせるほのかなスパイスのニュアンスも現れます。

口に含むと、とろりとした口当たりと、充実感のある甘み。ふくよかな果実味と酸味はすでにひとつに溶け合い、ミネラル感や凝縮した旨味とともに、厚みのある味わいをつくっています。

2003年から20年以上の時間を経ていますが、枯れた印象はありません。

むしろ、果実がゆっくりと時間を重ね、美味しく熟した果物を口にしたときのような、豊かな満足感。

若いピノ・グリの華やかな果実味とは異なる、蜂蜜や焼き菓子、スパイスへと広がる複雑な香りと、すべての要素が馴染んだまろやかな味わい。

「熟成したピノ・グリは、こんなに美味しいのか。」
時間がワインにもたらす美味しさを、あらためて感じさせてくれた一本です。
グラスに注ぐと、ほんの少し褐色を帯びた黄金色。

クリスチャン・ビネール
アルザス ミュスカ
ヴァンダンジュ・タルディブ 2011

― アルザス/ミュスカ/甘口

グラスに注ぐと、まず目を奪われるのは、キラキラと輝く美しい黄金色。濁りはなく透明感があり、グラスを傾けると縁にわずかにオレンジや茶色のニュアンスが見え、時間の経過を感じさせます。

香りには、ミュスカらしいマスカットそのものを思わせる華やかな果実香。アカシアの蜂蜜やアプリコット、白や黄色の花を思わせる香りが重なります。

口に含むと、とろりとした口当たりと、凝縮した豊かな甘み。遅摘みのブドウから生まれる充実した果実味がありながら、約15年という時間を経たことで、その甘さにも落ち着きと奥行きが生まれています。

酸味は柔らかく穏やか。そこにべっこう飴を思わせる熟成した風味と、ほのかな苦味が加わります。この苦味が甘さの中に一本の芯をつくり、ワイン全体を引き締めているのが印象的です。

華やかな果実味を残しながら、蜂蜜やべっこう飴へと広がっていく熟成のニュアンス。若さと熟成感の両方を楽しめる、豊かでボリュームのある甘口ワインです。

フルーツタルトなどのデザートと合わせるのはもちろん、ワインそのものを食後のデザートとしてゆっくり楽しむのもおすすめです。スティルトンやロックフォールなど、塩味のあるブルーチーズとの組み合わせも試してみたくなります。

果実の華やかさを失うのではなく、時間とともに新しい風味を重ねていく。
熟成したナチュラルワインの面白さを感じさせてくれる一本です。


ドメーヌ・シニャール フルーリー 
キュヴェ・スペシアル 
ヴィエイユ・ヴィーニュ 2014

― ボージョレ/ガメイ/熟成した赤ワイン

グラスに注ぐと、わずかにオレンジを帯びた濃い赤紫色。一般的なガメイから想像する色合いよりも深く、熟成を経てもなお、しっかりとした色調を保っています。

香りは華やかで、赤い果実のジャム、黒いドライイチジク、レーズンブレッド。そこに東洋系のスパイスや土、ヨードを思わせるニュアンスが重なり、複雑に広がります。グラスを回さなくても十分に香りが立ち上がるほど、豊かな香りを持っています。

口に含んでまず印象に残るのは、その滑らかさ。まさにビロードを思わせるような、なめらかな口当たりです。

果実のペーストを思わせるほどの凝縮感と厚みがあり、豊かな果実味をしっかりとした酸味が支えています。それぞれの要素が高いレベルでまとまり、熟成によって生まれた落ち着きも感じられます。

フルーリーは一般に繊細さや優美さを持つクリュ・ボージョレとして知られますが、このワインには、それだけではないスケール感と奥行きがあります。

ドライフルーツやスパイスへと変化した香り、滑らかな口当たり、そして凝縮した果実味。
時間を経たガメイの美味しさを、あらためて感じさせてくれる一本です。

ゼリージュ・キャラヴァン
フルーヴ・アムール 2014

― ラングドック/グルナッシュ主体/熟成した赤ワイン

グラスに注ぐと、わずかにオレンジを帯びた濃い赤紫色。一般的なガメイから想像する色合いよりも深く、熟成を経てもなお、しっかりとした色調を保っています。

香りは華やかで、赤い果実のジャム、黒いドライイチジク、レーズンブレッド。そこに東洋系のスパイスや土、ヨードを思わせるニュアンスが重なり、複雑に広がります。グラスを回さなくても十分に香りが立ち上がるほど、豊かな香りを持っています。

口に含んでまず印象に残るのは、その滑らかさ。まさにビロードを思わせるような、なめらかな口当たりです。

果実のペーストを思わせるほどの凝縮感と厚みがあり、豊かな果実味をしっかりとした酸味が支えています。それぞれの要素が高いレベルでまとまり、熟成によって生まれた落ち着きも感じられます。

フルーリーは一般に繊細さや優美さを持つクリュ・ボージョレとして知られますが、このワインには、それだけではないスケール感と奥行きがあります。

ドライフルーツやスパイスへと変化した香り、滑らかな口当たり、そして凝縮した果実味。
時間を経たガメイの美味しさを、あらためて感じさせてくれる一本です。




熟成したナチュラルワインを楽しむために

熟成したワインは、若いワインとは少し違う楽しみ方があります。

長い年月を経たボトルは、まず静かな場所で落ち着かせてから抜栓すること。澱がある場合には、ボトルを動かさず、ゆっくりとグラスに注ぐことをおすすめします。

また、抜栓直後の香りだけで判断せず、グラスの中で少しずつ変化していく香りや味わいを楽しんでいただきたいと思います。

熟成した白ワインには、べっこう飴や蜂蜜、梅酒、ときには紹興酒を思わせるような香りが現れることがあります。

赤ワインでは、若い頃の瑞々しい果実の香りが次第に落ち着き、ドライフルーツや紅茶、八角やクローブなど東洋系のスパイスを思わせる複雑な風味へと変化していくこともあります。

こうした熟成香を感じるワインには、中華料理を合わせてみるのも面白い楽しみ方です。

たとえば、熟成した白ワインなら、蒸し鶏や豚肉料理、海老や帆立を使った料理など。少し甘みを持つ熟成白なら、甘辛い味付けの料理にもよく馴染みます。

熟成した赤ワインなら、八角や五香粉を使った豚の角煮や焼豚、鴨料理など。ワインに現れるドライフルーツやスパイスの風味と、料理の香りが重なり合い、若いワインとはまた違ったペアリングを楽しめます。

熟成によって生まれた香りを手がかりに、料理を選んでみる。

これも、時間を経たワインならではの楽しみ方のひとつです。

ナチュラルワインは造り方や保存状態によって変化の仕方が異なるため、すべてのボトルに同じ方法が適しているわけではありません。まずは少量を注ぎ、ワインの状態を確かめながら、グラスの中でゆっくりと変化していく様子を楽しんでみてください。


時間が育てた美味しさを、今楽しむ

若いうちにしか味わえない美味しさがあるように、時間を重ねたワインにしか生まれない美味しさがあります。

華やかな果実の香りが、複雑で落ち着いた香りへ。生き生きとした酸味が、果実味や旨味と溶け合い、長く続く余韻へ。

造り手が大切に育てたブドウに、時間がもうひとつの表情を与えてくれます。

ナチュラルワインを、今、美味しいヴィンテージワインとして楽しむ。

それも、konishi1924がご提案したいワインの楽しみ方です。


時間を経たナチュラルワインを探す

・セバスチャン・リフォー サンセール アクメニネ 2014 

・シャトー・ドルシュヴィール アルザス ピノ・グリ グラン・クリュ ランゲン 2003

・クリスチャン・ビネール アルザス ミュスカ ヴァンダンジュ・タルディブ 2011

・ドメーヌ・シニャール フルーリー キュヴェ・スペシアル ヴィエイユ・ヴィーニュ 2014

・ゼリージュ・キャラヴァン フルーヴ・アムール 2014

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