ボジョレーについて
ボジョレー (Beaujolais) は、フランス・パリの東南に位置するブルゴーニュ地方の南部に位置しています。また、美食の町リヨンからは北部に広がる地区でローヌ県に属しています。リオンからボジョレーまでは車で50分ほどの距離です。中央高地の北東に位置する丘陵地帯で、東はソーヌ渓谷、西はロワール渓谷に隣接しています。
ボジョレー (Beaujolais) は、土地の名前であると共に、ワインの生産地としても広く知られています。
ボジョレーは、南北に55kmの距離がある細長いワイン産地で、畑はなだらかな丘陵地帯に広がっています。土地名の由来はボージュ(Beaujeu)といわれており、「美しい高台」を意味します。
ぶどう畑は起伏に富んだ丘の東から南斜面に位置するため、標高が高い割に夏は暑く冬は寒い半大陸性気候で、ワインづくりに適しています。 花崗岩質、石灰粘土層の土壌で、黒ぶどう「ガメイ種」との相性が非常によい土地です。
生産されるワインの大半(95%)は、ガメイから造られるフルーティーな赤ワインです。
ボジョレー・ヌーヴォーについて
ボージョレ・ヌーヴォーは、原語表記すると「Beaujolais Nouveau」、ボージョレは「ボジョレー地区」、ヌーヴォーは「新しい」という意味です。
ボージョレ・ヌーヴォーは「ボジョレー地区の新酒」と解釈できます。
新酒ワインは、イタリア (ヴィーノ・ノヴェッ=Vino Novello)やドイツ(デア・ノイエ=Der Neue) 、日本など世界各地でつくられています。
日本の市場を見てみるとボジョレー・ヌーヴォーは抜群の知名度を誇り、11月の第三木曜日の解禁日にはかなりの盛り上がりをみせるようです。
ボージョレ・ヌーボーは新酒ですから、一般のワインのより熟成期間が短く、基本的にはすぐ飲むワインとしてつくられ販売されます。
収穫したてのぶどうを、”マセラシオン・カルボニック”という方法で仕込むと、赤いベリー系の華やか香りやな果実味が感じられるフレッシュなワインが出来上がります。
赤ワインといえば渋味が特徴的ですが、ボージョレ・ヌーボーの渋味は穏やかでやわらかく、赤ワインが苦手な方でもおいしく飲めるものが多くみられます。
< ボジョレーとボジョレー・ヌーヴォーの同じ点と異なる点 >
ボジョレー・ヌーヴォーとボジョレーは同じ生産地、同じぶどう品種でつくられるワイン。
ボジョレー地区でつくられるワインが「ボジョレー」、同じ地区でつくられた新酒ワインが「ボジョレー・ヌーヴォー」です。
ボジョレーヌーヴォーのぶどう品種
ボジョレー・ヌーヴォーにはガメイという黒ブドウの品種が使用されています。
ガメイは主にフランスのブルゴーニュ地方のボージョレ地区を中心に栽培される赤ワイン用の黒ブドウ品種です。
果実の粒が大きく果皮が薄いガメイは、果皮や種子に対して果汁の比率が高く、出来上がるワイン他の赤ワインと比べて色調が薄くなります。
生育においては発芽と成熟が早く、涼しい気候でも繁茂するため豊作になりやすいことが特徴です。
また、ぶどうの房がたくさんなる品種で、栽培するにあたり剪定で適格に収量制限することが必要です。
ガメイのワインは一般的にフレッシュでイキイキとした酸味があり、飲み心地がよく果実味が豊かです。赤い果実や時に胡椒の香りがあります。
オーク樽で熟成された驚くほどに長命なワインもみられます。
ボジョレー・ヌーヴォーのつくり方
定められた解禁日に間に合うように、ヌーヴォは通常のボージョレとは違う「マセラシオン・カルボニック」という方法で醸造されます。ワインを醸造する発酵方法のひとつで、主に赤ワインに用いられます。
マセラシオン・カルボニックは、そのまま訳すとフランス語で”二酸化炭素浸漬法”となります。
マセラシオン Maceration(マセレーション)は、ワイン醸造の発酵過程で果皮や種子を果汁につけ込んでおくことを意味する言葉で、「醸し」のことです。
カルボニックは、カーボン=炭素(英:carbon)に由来し、醸し中に二酸化炭素で醗酵タンク内を満たすことです。
通常のワインは収穫後、破砕して攪拌するなどの作業をしますが、マセラシオン・カルボニックはその作業を行いません。
収穫したブドウを破砕せずにそのままタンクの中で放置し、タンク内に二酸化炭素を充満させます。
二酸化炭素は、においも色もなく空気の約1.5倍も重い気体です、比重が重いのでタンクの下部にたまります。理論的にはぶどうの果実は酸素との接触がなくなります。
酸素との接触がなくなることで酸化が抑制され、その結果大変フルーティーなワインに仕上がるのです。
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日について
ボジョレー・ヌーヴォーの魅力といえば、その年に収穫したブドウで造られるワインをいち早く味わえるということ。新鮮なブドウ由来の、フレッシュかつフルーティーな味わいを楽しむことができるのです。
そして、ボージョレ・ヌーボーには解禁日があります。解禁日とは、ボジョレー地区の新酒ができたお祝いの記念日のようなものです。時期は毎年同じで、11月の第3木曜日午前0時と決められています。
しかし、ボジョレー・ヌーヴォーが造られ始めた頃、解禁日は設けていませんでした。主にボジョレーの近くの大都市リヨンのブラッスリーやビストロなどで楽しまれていました。その年の収穫を喜び、新酒が出来ことをお祝いして消費だったようです。これが話題となりパリでも楽しまれ一般に流通するようになっていきました。
そんな中、他の生産者よりも早く販売しようとする者が現れ、発酵が不十分だったりする粗悪なヌーヴォーが出回るようになたといいます。そこで、ワインの品質を守るため解禁日が設けられるようになりました。当初、解禁日は11月15日と制定されていました。
フランス人の国民性もあり、この日が土日にあたると運送業者やワイン販売店がお休みになります。これにより流通や売上が大きく左右されてしまったことから、日付で決めるのではなく、安息日に重ならない11月の第三木曜日午前0時と、フランス政府が法律で設定する運びとなりました。
ボジョレー・ヌーヴォーに白ワインはあるの?
ボジョレー・ヌーヴォー(新酒)の白ワインはありません。ボジョレー・ヌーヴォーとして認められているのは赤ワインとロゼワインです。
新酒ではない「ボジョレー」に白ワインはあります。
しかし、ボジョレーで生産されるワインの大半(95%)は、ガメイから造られる赤ワイン、生産量の0.5%がロゼや白になりますから、ボジョレーの白の生産量はとても少ないのです。このあたりがボジョレー・ヌーヴォーの白がない要因のひとつになるのかと思われます。
そこで、「白のボジョレー・ヌーヴォーが飲みたいな」という方は、お隣のマコン地区でつくられるヌーヴォーはいかがでしょうか。ボジョレーの特産が赤ワインなら、マコネ地区の特産はシャルドネからつくられる白ワインです。
ボージョレと同じ解禁日の新酒「マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー」は白の新酒として販売されています。
ボジョレー・ヌーヴォーの年代物???
ヌーヴォー、というのは「新酒」という意味です。今年採れた葡萄でつくられた出来立てのワイン。
年代物は、「多くの年月が経過しており、特にそれによって価値があるとされるもの」のこと。
言葉の通り解釈すると「新酒」と「年代物」が一緒に存在することは考えるれません。よって、ボジョレー・ヌーヴォの年代物はない、と解釈するのが一般的。ただ、古くなった、なってしまったボジョレー・ヌーヴォは存在します。
通常ワインは数年寝かせてから出荷されますが、ヌーヴォは解禁日も設定されその日に間に合うようにつくられ、出来立てを楽しむことを 前提として作られています。長期保管されることを前提としてはつくられていません。 時間経過による風味の劣化があるとすれば普通のワインよりも速くなります。
「ボジョレー・ヌーヴォの年代物」が販売されるということは無いと考えてよいでしょう。
「ボジョレー」というのは、フランスのワイン生産地の名称なので、この地区で作られたワインの オールドヴィンテージは存在します。
「古くなった、なってしまった、ボジョレー・ヌーヴォー」についてはお客様より多々質問を受けます。
多いのは「ボジョレーヌーヴォーはいつ頃まで飲めますか?」、「古いボジョレーヌーヴォーは飲めますか?」など。よく聞かれるので1年、3年、5年と特に温度管理もせず部屋の押し入れにボトルを横にして置いときました。
1年経過したものは、こなれた様子で普通のボジョレーとして楽しめました。ヌーヴォーとして飲んだ時のフレッシュさはありませんでした。
3年経過したものは、落ち着いた様子でドライフルーツのような熟成した果実の香りが出ていました。
5年経過したものは、少し枯れた感じです、味わいの印象が薄く、おいしいというより飲めないことはないといった感想でしょうか。早く飲んだほうが良いと味わいが教えてくれました。
結果、ボジョレーヌーヴォーは5年くらいまでなら飲めますよ、熟成しても更なる美味しさは期待できません、というところでしょうか。
上記の意見、感想は、ワインの保存場所や温度、生産者によって異なるのであくまでも参考程度に読んでいただければと思います。
ボジョレー・ヌーヴォーをお料理と楽しむ!
ボジョレー・ヌーヴォーは予約したけれど…、解禁日になって…、「はて、どんなお料理と合わせたらよいのだろう」と思う方も少なくないようです。
間違いないのはその土地の郷土料理からヒントを得てみること。
ボジョレー地区が含まれるブルゴーニュ地方は、マスタード、ソーセージ、エポワスに代表されるチーズなど、おいしい特産品は数知れず、フランスきっての美食の地域です。
名物料理は、エスカルゴと、赤ワインを使った煮込み料理。
赤ワインをソースに仕立てたり煮込んだり、さまざまな食材と合わせて楽しむのがブルゴーニュ流のようです。
コック・オーヴァン(Coq au Vin)
coqは鶏、vinはワイン。
鶏肉と野菜の出汁がしっかりきいた赤ワインソースは絶品です。
ブッフ・ブルギニョン(Boeuf Bourguignon )
ブルゴーニュ風、牛肉の煮込みは、食べごたえのあるメインディッシュ。
現地では、付け合わせにマッシュポテトを添えていただきます。
エスカルゴ(Escargots de Bourgogne)
ブルゴーニュ地方の食文化の豊かさをあらわす伝統的な一皿で、オーブンで焼き、アントレとして食卓を飾ります。
ウフ・アン・ムーレット(œufs en meurette )
リヨン料理だというウフ・アン・ムーレット。ポーチドエッグの赤ワインソースがけです。現地では、沸騰しているお湯にたまごを割り入れてつくる「ポーチドエッグ」です。
洋梨の赤ワイン煮(Poires au vin rouge de Bourgogne)
洋ナシの赤ワイン煮込みはブルゴーニュの有名なデザートです。
新鮮な洋ナシは味を良くするため、先にカットされて出てきます。
洋ナシは赤ワインとシナモン、クローブ、レモン・ピールなどの数種のスパイスに一昼夜漬け込まれ、翌日に砂糖を加え調理され、最後にアーモンドが添えられます。
グジェール(Gougre)
フランス・ブルゴーニュ地方の郷土料理で、チーズを生地に混ぜて焼き上げたシュー生地のこと。
ブルゴーニュ地方南部のボジョレー地区でも、家庭でよく楽しまれています。
熟成した旨みたっぷりのハードチーズ「コンテ」や「グリュイエール」などを使用することが多く、サクっとした生地の食感と、香ばしいチーズの風味がたまりません・・・!
現地でのボジョレー・ヌーヴォー解禁時は、各家庭やビストロで、ヌーヴォー片手にグジェールを頬張るのが定番だとか…。中身は空洞?ですが、きのこやハムなどの具材を詰める事もあるようです。
パーティーなどでも活躍しそうな一品ですね。
まとめ
2024年の解禁日は、11月21日になります。
決まりとして、午前0時より前に栓を抜いてはならないことになっています、面白いことに日本は日付変更線の関係で、本場フランスよりも約8時間早く楽しむことができます。
フランスのように新酒ができたお祝いをお祭り気分でぜひ楽しんでください!