はじめに

長期の熟成期間を経た「ヴィンテージワイン」「古酒」「年代物ワイン」、現在はどのような味わいなのでしょうか。

美味しいのかな?
香りや味わいはどのようなものなのかな?
なんとも気になるところです。
そこで、色々なワインをテイスティングしてみました。

バックヴィンテージのワインは長期の熟成期間を経ていることから、そのワインが過去にどのように保存されてきたかにより品質が大きく異なります。

konishi1924で販売中のワインは、中野区新井の地で小売りを行っていた店舗の地下につくられた冷暗なセラーにて温度管理・湿度管理され、動かされることもなく大切に保管されてきました。また、ヴィンテージワインを仕入れる際には、蔵出しのワインを選ぶことを心がけております。

このページでは過去にテイスティングしたワインを集めています、ワイン選びの参考にしていただければ幸いです。

結婚記念日に結婚した年のワインを楽しみたい、生まれた年のワインを飲んでみたい、会社の設立記念の年のワインを贈りたい、ワイン選びに迷った場合 konishi1924 にお気軽にご相談下さい。

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ビービー・クラーツ テスタマッタ 2004 ー イタリア / 赤ワイン

ビービー・クラーツ テスタマッタ 2004
テイスティング日時/2023年6月20日
テイスター/宮島宏枝

ビービー・クラーツは生産者の名前です。

トスカーナ州フィレンツェのアーティスト一家に生まれ育ったグラーツ氏は、その天才的なセンスでワイン造りを行います。

自分の故郷にとても誇りをもっていて、ワインづくりにもその思想が強く反映され、ぶどう品種も土着品種の個性をより最大限に表現したいと考えています。

今回テイスティングしました「テスタマッタ」はこの生産者の代表銘柄、トップキュヴェです。

ワインををグラスの注ぎ傾けてみると、濃い小豆色で淵にオレンジが見えます。

香りは華やかで複雑、干したレーズンや東洋的なスパイス、例えば丁子など、黒コショウの要素も感じられます。煮詰めたカシスなどの濃縮された果実の香りも心地よく楽しめます。

口当たりは柔らかくスムース、奇麗に口の中を通り喉の奥に滑り落ちていく美しさを感じます。

味わいは濃厚、心地よい酸味が感じられ、サンジョベーゼ種であることを認識させてくれます。

19年の時を経ていますが凝縮した果実味、しっかりとしたタンニンは健在で、いわゆるパンチのある味わい美味しさが楽しめ、まさに飲み頃です、今後この美味しさは5~7年は継続することでしょう。


とても良い状態で熟成しており、コルクも長く途中で切れることもありませんでした。

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ランカスター・エステート 
プロプライアタリー・レッド アレキサンダー・ヴァレー 2002 ー カリフォルニア / 赤ワイン

ランカスター・エステート 
プロプライアタリー・レッド アレキサンダー・ヴァレー 2002
テイスティング日時/2023年3月31日
テイスター/宮島宏枝


アレキサンダー・ヴァレーは、カリフォルニア州の北沿岸部ソノマ・カウンティにある葡萄栽培地です。

ソノマ・カウンティは、南北にロシアンリバーが流れ、山や谷が多く複雑な地形をしています。

アレキサンダー・ヴァレーは、海から離れていて、周りに丘陵が存在するため、海からの影響を受けにくく温暖な気候。

また、谷底の幅が広く平坦なことに加えて日照時間が長いため土地が温まりやすいのが特徴。

土壌は、水はけの良い沖積層土壌です。

1988年に政府承認のぶどう栽培地域であるAVAに認定されました。

先のように、水はけの良い土壌と温暖な気候でソノマで最も多くボルドー系の品種を栽培しています。

谷底ではカベルネ・ゾーヴィニヨン、山沿いではシャルドネが主に栽培されています。

アレキサンダー・ヴァレーで有名な生産者は今回のランカスター・エステートを始め、シルバー・オーク・セラーズ、 シミ・ワイナリー、ストーンストリートなど、ジンファンデルで有名なリッジのリットン・スプリングスやカイザーヴィルの畑もあります。

コルク栓を静かに抜くと二センチほど引き上げたところでラムレーズンを思わせるようなよい香りがしてきました。

カリフォルニアワインの古酒はコルクが千切れたり切れたりしやすいのですが、ソムリエナイフとプロング式のオープナーを併用して上手く抜きました。

グラスのワインを注ぎ傾けて色をみると、まあなんと若々しい色をしていることでしょう。20年以上たっているとは思えません、淵にはわずかなガーネット色が出ているのみで黒っぽい赤紫色をしています。

香りは強くストレートに上がってきます。ラムレーズンを思わせる、甘さとアルコールの高さを予感させるもの、続いて、土っぽさ、錆のようなニュアンス、丁子のような東洋系のスパイス、カルダモンやクローブ、ナツメグなど、ドライのイチジクやプルーンなど果実の要素もありとても複雑です。

口に含んでみると、すーっとした印象、続いて密度の高い黒系のフルーツ、カシスを思わせる味わいが感じられます。

ものすごく濃縮された果実味、おだやかな酸味、しっかりした渋みが感じられ高い位置でまとまっています。オークの風味が果実味の中に溶け込んで見え隠れしています。

20年のエイジングを経てもなお少しの硬さがあり、どれだけのスケールをもったワインなのかと驚きました。30年、35年、40年、いったいいつ頃まで美味しさを楽しめるワインなのでしょうか。


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マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ 1992 ー 日本 / 白ワイン

マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ 1992
テイスティング日時/2023年3月18日
テイスター/宮島宏枝

キャップシールを開け、コルクを少しずつ引き抜く過程で甘いブランデーの香りがしてきました。

コルクの状態は良く、そっとそっと引き上げると割れずに奇麗に抜くことが出来ました。

グラスを傾けてみます、色調は中程度、粘土はそれほど高くありません、少し黄色の残る茶色、紅茶のような色合いです。

香りの強さは中程度、熟した和梨を思わせる香りが印象的、甘酸っぱさを思わせるバルサミコの要素も、淡いブランデーや蜂蜜、べっこう飴のニュアンスも感じられます。

ワインを口に含むと最初に豊かな甘さが、とろりと甘い印象がありますが、ベタっとしたものではなく、和三盆を思わせる上品で豊かな甘みです。

続いて心地よいしっかりとした酸味が続き、甘酸っぱい美味しさを感じさせてくれます。

この甘酸っぱさはクリオエクストラクシオン、アイスワインの特徴、ワインのつくりを背景に感じさせてくれるバランスのよい甘口、デザートワインです。

味わいの主軸は冒頭の熟した梨の風味で、和梨の他にラ・フランスなどの洋ナシの要素も楽しめます。


梅酒のような甘酸っぱさもあり、複雑です。30年以上の時を経ているので、枯れた印象が前面に出ているかと想像しましたが、元気です。素晴らしく美味、上品に熟成しています。

色だけを見ると枯れた印象を持ちますが、味わってみると当初の印象を良い意味で裏切られました。

30年以上の時を経たワインを試飲するのは流石に勇気が要ります。

在庫も少ないですし、もちろん市場にはありません、特に今回は甘口、極甘口というデザートワインのカテゴリーです。

テイスティングの後はワインを楽しむのですが、今回は30年もの時を経ています、残せば劣化する可能性はかなり高いのです。

飲食店を営んでいた時は「プライベートプリザーブ (ワイン保存用ガス) 」を用意していましたが、今は手元にありません。

ワインのテイスティングコメントにも書いていますが、このワインには甘さもありますが、しっかりとした酸味も備えています。この酸味が素晴らしくいい仕事をしています、飲み飽きしないのでした。

ブルーチーズやサラダ、キッシュなどを用意して楽しみましたが、一本ぺろりと飲んでしまいました。本当によい状態で熟成しております。

ボトルの裏ラベルには次のようなメッセージがありました。

長野県の契約栽培地で収穫されたシャルドネ種100%の極甘口のワイン。収穫した葡萄を̠-20℃で冷凍し、その状態のまま時間をかけて圧搾します。この方法で通常より高糖度の果汁をつくり、それを醸造しました。この方法がクリオ・エクストラクション法 (氷温しぼり) です。ワインは、フルーティーなタイプ。長い熟成に耐えられるワインです。

このワインがリリースされた当時、私はこのワインがどのくらいの生命力を持っているのか判断できませんでした。

頭でっかちで圧倒的にワインに触れる経験値が少なかったと思われます。でも、逆にメッセージの最後にある「長い熟成に耐えられるワインです。」という言葉を信じる素直さはもっていたのかもしれません、若さの特権ですね。

クリオ・エクストラクション法はアイスワインと同等のつくり方ですが、ドイツの自然に凍るアイスワインとは異なり、人工的に葡萄を凍らせてつくる方法です。

30年以上前なら今のように表記がうるさくなかったので、「アイスワイン」と表示した方が売りやすかったとも思うのですが、ドイツの本物のアイスワインに敬意を表したのと、日本でアイスワインをつくってみました、という意思の表れで「氷温しぼり」と命名したのか、想像すると律儀で真摯な生産者さんのこだわりが見えてくる気もいたします。


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カミーユ・ジルー ヴォルネイ プルミエ・クリュ タイユピエ 2006 ー フランス / 赤ワイン

カミーユ・ジルー 

ヴォルネイ プルミエ・クリュ タイユピエ 2006
テイスティング日時/2022年10月23日
テイスター/宮島宏枝

フランスのブルゴーニュ、ヴォルネイ村、タイユピエという畑の葡萄でつくられたワインです。「タイユピエ」の名前の由来は、畑に尖った石が多く、昔働いていた農民の靴がすぐに擦り切れてしまったことから「taille(タイユ)=切断」:「pied(ピエ)=足」と呼ばれるようになりました。

外観、色はグラスの淵にわずかにオレンジが見える美しい濃いめのガーネット色をしています。

透明感があり、粘性はそれほど高くありません。

グラスにワインを注ぐと華やかな甘い香りが広がります、熟した、いや、ジャムを思わせる煮詰めた黒スグリ、プラムを思わせます。グラスを回すと土っぽさや鉄の要素も出てくるようです。

口に含んでみると、柔らかさの中に艶やかで奥行きのある果実味が楽しめます。

16年の時が流れているとは思えない若々しさが感じられ、おそらく後7~10年はよい方向に変化しているであろうと感じました。

品の良いほのかな甘さと果実味が同時に感じられ、上品さの中に力強さも備えており複雑です。

ある程度テイスティングをした所でよりワインの良さが楽しめるかと想像し、デカンタージュしてみました。グラスも大振りのものに移行、抜栓して20分、香り味わい共にすばらしき開いてきました。妖艶さが出てきたのです。

この妖艶さなんですが、味わっていてふと思い出した人がいます。話がかなりそれます。

ベルサイユのバラの10巻に出てくる、モンテクレール城に住む美貌の伯爵夫人、エリザベート・ド・モンテクレールを思い出しました。時計技師に殺人人形「リオネル」を作らせ、その人形で大勢の少女を殺害。その血で沐浴することで、自らの若さと美を保てると信じていたという話しなのです。エリザベート・バートリがモデルなのだとか。漫画の中でそれはそれは妖艶に描かれていました。

話はもどります。

妖艶さですが、香りの要素には黒っぽい薔薇の花や、煙やレンガ、少し血を思わせるニュアンスを感じるようになりました。

デカンタージュしたことで、香りの華やかさと複雑さが増し、テイスティングルームは甘い香りで満たされました。味わいの艶やかさもまして美味しさに魅力されます。

「こういうワインを飲むとブルゴーニュワインの虜になっちゃうんだよなぁ」と「すごく美味しい」とつぶやいてしまいました。

上品で高貴な妖艶さの中に、ふくよかさ、厚み、旨味、重厚感の詰まった飲みごたえのあるブルゴーニュワインです。

ジャスパー・モリスは本の中で、ヴォルネイの中ではタイユピエとクロ・デ・シェーヌを最高評価の畑と書いていましすが、なるほど確かに、と頷ける美味しさに感じられました。


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デ・ボルトリ ヤラ・ヴァレー メルバ リザーヴ バレルセレクト 1995 ー オーストラリア / 赤ワイン

デ・ボルトリ ヤラ・ヴァレー

メルバ リザーヴ バレルセレクト 1995
テイスティング日時/2022年9月11日
テイスター/宮島宏枝

オーストラリアのヴィクトリア州、ヤラ・ヴァレーの赤ワインです。

外観ですがグラスの向こうが全く見えないほで濃く黒っぽい赤色をしておりグラスの淵にオレンジが見えます。粘性は高く、グラスを傾けるとはっきりとしたアシが見て取れます。

グラスに鼻を近づけると、葉巻、煙草、カラメル、黒蜜、ドライイチジク、鉄の要素など複雑で奥行きのある香りが感じられます。丁子などの東洋系のスパイスや少しですが鉛筆の芯を思わせる香りも。

口に含んでみると、濃厚さと果実の柔らかい旨味を感じます。熟した果実味、その中に溶け込んでいる酸味が印象的、豊かでしっかりしていますが角のとれた渋みは時の流れを感じさせてくれます。芳醇で円熟した味わいの赤ワインです。

味わう前はオーストラリアワインなので甘い要素があるかしらと思いましたが、酸味がしっかりと感じられ、果実味と渋みバランスが絶妙、全体を奇麗に高い位置でまとめあげ品を生み出しています。


27年の時を経ていますが、まだまだ元気、ボルドーのグラン・ヴァンが持つ「貴族的な印象」はありませんが、「底知れない豊かさを秘めた魅力」が存分に感じられます。

酸味が印象的と書きましたが、この酸味がワインの熟成にかかせません、豊かな果実味と渋みを高貴にまとめあげる味わいとして重要になってきます。ヤラ・ヴァレーはオーストラリアで最も冷涼な気候といわれますが、この土地の個性がしっかりした酸味を葡萄に与えてくれたようです。

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ドメーヌ・ポティネ・アンポー 
オークセイ・デュレス プルミエ・クリュ バ・デ・デュレス 2014 ー フランス / 赤ワイン 

ドメーヌ・ポティネ・アンポー

オークセイ・デュレス プルミエ・クリュ バ・デ・デュレス 2004 ー フランス / 赤ワイン
テイスティング日時/2022年8月25日
テイスター/宮島宏枝


フランスのブルゴーニュのワインです。

外観、色はグラスの淵にオレンジが見えるやや薄い赤色をしています。透明感があり、粘性は高くありません。

グラスにワインを注ぐと、熟成からくる華やかな広がりのある甘やかな香りがふわりと広がります。

すみれの砂糖漬けのような甘い香りです。グラスに鼻を近づけると、プラムやドライのイチジク、クローブのようなスパイスを思わせる香りも感じられます。香りは華やかで強め、葉巻などの要素もあり複雑です。

口に含んでみると、なんとも柔らかい口当たりです。続いて、品の良いほのかな甘さと果実味が同時に感じられなんともチャーミングな印象です。繊細な果実味のなかに優しいタンニンを感じます、ここちよくしっかりとした酸味が良い意味でのアクセントになっておりスケールが大きいわけではありませんがバランスの良さは見事です。

まさに今飲み頃です、生産者のつくりの丁寧さが

優しい美味しさの中に感じられ、とても幸せな気持ちになります。


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セバスチャン・リフォー サンセール サウレタス 2014 ー フランス / 白ワイン

セバスチャン・リフォー サンセール サウレタス 2014
テイスティング日時/2022年7月14日
テイスター/宮島宏枝

フランス ロワール地方のサンセールでつくられた白ワインですよ。

グラスに注いでみると色調は中程度、ほんの少し茶色の入った黄金色をしています。

粘土はそれほど高くありませんでした。

熟したアプリコットや苔桃、マンゴーのジャム、蜂蜜を思わせる香りが感じられます。

蜂蜜も濃厚さのある蜂蜜でなにやらグラスの向こうに蜂の巣箱が見えそう…。

香りが強いのかというとそうでもなくどちらかと言えば控えめです。

しかし、複雑さはあります、上記の甘い香りに加え、チーズケーキやシナモン、ミントのニュアンスも感じられました。

口に含んでみるとたっぷりの旨味を感じます。

それは、ほのかに甘さを感じさせる要素とミネラルを感じさせる要素です。充実した豊かな果実味が感じられ、収穫した時の葡萄はどれほど完熟していたのであろうかと想像させてくれます。たっぷりの果実味に対し、バランスのとれた酸味も感じられます。

充分な果実味のなかに酸味が溶け込みはじめている印象です8年の時がなせる業なのでしょう、なんともまろやか。芳醇で膨らみのある艶やかな味わいの白ワインです。

このワインの持ち味の芳醇さを存分に楽しむのなら、少し高めの温度、12度前後くらいで飲むのが良さそうです。

冷蔵庫の温度5~7度位まで冷やすと旨味を感じられなくなりもったいないと思います、あくまでも好みの問題ですが…。

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クリュ・バレジャ ソーテルヌ 2001

クリュ・バレジャ ソーテルヌ 2004
テイスティング日時/2022年7月14日
テイスター/宮島宏枝


色はトパーズを思わせる飴色、茶色がかった濃いめの黄金色をしています。


粘性は高く足も厚いよう。


広がりのある香り、べっこう飴、蜂蜜、もものコンポートのような煮詰めたフルーツ、干したアンズ、オレンジピール、ミモザの花を思わせる香りも、とても複雑で奥行きが感じられます。

貴腐ワイン特有のセメントのようなニュアンスも感じられますが、いやなものではありません。

濃密な甘さとギッシリ詰まった果実の美味しさがストレートに感じられます。

思っていたよりこってりとした印象はなくエレガントさと熟成による複雑さ、落ち着きを感じます。

香りな感じられた、煮詰めたフルーツ、干したアンズのニュアンスが口一杯に広がり、スイートな世界に引きずり込まれるようです。

高貴な甘口ワインに感じられる、紅茶やプ―アール茶のような風味が堪能できます。

余韻は大変長く美味しさがいつまでも続きます。


後口に心地よくやさしい苦みが感じられ、この味わいが全体を引き締めてくれているようです。

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※ワインのコメントは十人十色、あくまでも参考程度に読んでいただければ幸いです。