はじめに

10月も終わりに近づくと、街にはかぼちゃのランタンが並び、秋の夜が少し特別な表情を見せ始めます。
ハロウィンといえば、仮装やお菓子、オレンジ色に輝くかぼちゃのランタン。
もともとは古代ケルト人の祭り「サウィン」に由来するといわれています。秋の収穫を終え、冬を迎える季節の節目を祝う行事であり、祖先の霊がこの世に戻ってくると考えられていた時期でもありました。
今では、子どもから大人まで楽しめる秋のイベントとして、世界各地で親しまれています。
そんなハロウィンですが、実はかぼちゃのランタンにも、ちょっと不思議な物語があることをご存じでしょうか。
ハロウィンのかぼちゃには、ちょっと不思議な物語がある

ロウィンの夜、あちらこちらで見かける、オレンジ色に輝くかぼちゃのランタン。
大きな口を開けて笑っていたり、少し怖い顔をしていたり。
このランタン、実は最初からかぼちゃだったわけではありません。
その昔、アイルランドにはジャックという、ずる賢くていたずら好きな男の民話がありました。
ジャックは悪魔を巧みにだまして、自分の魂を奪わないと約束させます。
ところが、やがて寿命を迎えたジャックは、生前の行いが悪かったため天国に入れず、悪魔との約束によって地獄にも入れなくなってしまいました。
行き場を失ったジャックに、悪魔が渡したのは、地獄の炎から取り出した小さな燃えさし。
ジャックはそれをくり抜いたカブに入れ、ランタンにして、暗闇の中をさまよい続けることになったといいます。
そう、もともとはかぼちゃではなく、カブだったのです。
この伝承がアイルランドからアメリカへ渡ると、手に入りやすく、大きくて加工しやすいかぼちゃが使われるようになりました。
こうして、現在のジャック・オー・ランタンが広まったといわれています。
少し怖くて、どこか滑稽なジャックのお話。
そんな由来を知ると、いつものかぼちゃのランタンも、少し違って見えてきませんか。
ハロウィンの主役といえば、やはりかぼちゃ。
ほくほくとした甘みを楽しむローストパンプキン、きのこをたっぷり使ったグラタン、香ばしく焼き上げたキッシュ。
秋は、ワインと相性のよい食材が豊富な季節です。
かぼちゃの優しい甘みには、果実味豊かな白ワイン。きのこの香りや旨味には、少し熟成したワイン。スパイスを利かせた肉料理には、南フランスの赤ワインもよく似合います。
そして、ハロウィンらしいオレンジ色のワインを選んでみるのも、ちょっとした楽しみです。
今年は、いつもの料理に少しだけ季節の食材を加えて、ワインとの組み合わせを楽しんでみませんか。
自然の恵みを味わう、ハロウィンのナチュラルワイン
秋の収穫を祝うハロウィンに、ぜひ楽しみたいのがナチュラルワインです。
ブドウを育てる土地や気候、造り手の考え方を大切にし、醸造過程でもできる限り人為的な介入を抑えて造られるワイン。
同じブドウ品種でも、育った土地や収穫した年によって、さまざまな表情を見せてくれます。
今年は、熟成したロワールの白ワイン、アルザスの華やかなオレンジワイン、そして南フランスのブルノ・デュシェンをご紹介します。
かぼちゃやきのこ、秋の果物を使った料理とともに、自然の恵みを味わうハロウィンの夜を楽しみましょう。
かぼちゃ、きのこ、秋の果実。自然の恵みを楽しむ、大人のハロウィン
黄金色のサンセールと、秋の果実

― 熟成した白ワイン
セバスチャン・リフォー
サンセール アクメニネ 2015
フランス・ロワール地方、サンセールの白ワインです。
黄金色に輝くグラスからは、洋梨やアプリコット、金柑のコンポートを思わせる豊かな香り。
長い年月を経た落ち着きと、完熟したブドウが持つ凝縮感。熟成による古酒の要素もでており、紹興酒を思わせる風味、熟成した白ワインならではの複雑な味わいが楽しめます。
合わせたい料理:かぼちゃと洋梨のタルト

ほくほくしたかぼちゃと、加熱して甘みを増した洋梨。少しだけシナモンを利かせた、甘さ控えめのタルトはいかがでしょう。
ワインの熟した果実の風味と料理の甘みが重なり、秋らしい豊かな味わいを楽しめます。
食事として楽しむなら、鶏肉ときのこのクリーム煮もおすすめです。
オレンジ色のワインで、ハロウィンらしく

― オレンジワイン
ドメーヌ・ビネール
ル・スカラベ スキンタッチ 2018
グラスに注ぐと、ハロウィンにふさわしい美しいオレンジ色。
ライチや薔薇、金木犀を思わせる華やかな香りが広がり、口に含むと果実の凝縮感と豊かな旨味が感じられます。
香りをゆっくり楽しみたい、存在感のある一本です。
合わせたい料理:ローストパンプキンと熟成チーズ

かぼちゃは大きめに切り、オリーブオイルと塩、ローズマリーを振ってオーブンへ。表面に軽く焼き色がつくまで、じっくり焼き上げます。
一緒に用意したいのは、少し熟成したマンステールやエポワス。
香り豊かなチーズとバゲットがあれば、それだけでも贅沢なひと皿になります。
ビネールの華やかな香りと厚みのある味わいが、チーズの濃厚な旨味と重なります。
ルー・デュモン
ブルゴーニュ・ブラン
キュヴェ・ファミーユ 2020

透明感のある白ワインは、清らかな酸味とミネラル感が静かに広がります。
蝋燭の光に照らされると、夜の静寂とぴたりと寄り添い、優雅さを添えてくれます。
ペアリングのおすすめ

- 焼きカボチャと茸のサラダ
- 軽めのキッシュやグリル野菜
ワインの清らかな味わいが、素材の旨味をそっと引き立てます。
✨ ナチュラルワインの魅力と夜の魔法
ナチュラルワインは、ただ味わうだけでなく、自然とのつながりや季節の移ろいを感じられるワインです。
ワインを一口ずつ味わうたび、グラスはささやきかけます。
「過去の季節を覚えていますか?」
「今、この瞬間に生きていることを感じていますか?」
ハロウィンの夜、ランタンの光や蝋燭の揺れ、仮面の影が織りなす幻想的な空間で、ナチュラルワインは土と太陽、風と雨の記憶を伝えてくれます。
選んだ料理やお菓子と合わせれば、グラスの中の物語はさらに豊かに広がります。